『ゴールデンスランバー』感想レビュー│孤独な逃走劇をネタバレなしで紹介

ゴールデンスランバー 感想レビュー 本紹介
ウバ
ウバ

数あるサイトの中から『ウバログ』にご訪問いただきありがとうございます。

皆様の読書ライフのお役に立てれば幸いです。

伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』は、首相暗殺の濡れ衣を着せられた青年の、孤独な逃走劇を描いた一冊。

目に見えない巨大な陰謀に一般人が巻き込まれていく様は、読んでいて恐怖すら抱きます。

伊坂幸太郎作品の中でも根強い人気がある本作は、【第5回】本屋大賞を受賞

そんな『ゴールデンスランバー』のおすすめポイントを、実際に読んだ感想とともに紹介していきます。

それじゃあ、早速いってみよー

面白さ5.0
登場人物3.0
恐怖度4.0
読書初心者おすすめ度4.5
『ゴールデンスランバー』の評価

『ゴールデンスランバー』の基本情報

タイトルゴールデンスランバー
著者伊坂幸太郎
出版社新潮社
発行年2007年
ジャンルミステリ/サスペンス/ハードボイルド

第5回 本屋大賞

第21回 山本周五郎賞

2010年 映画化

伊坂幸太郎

2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。

以降、様々な文学賞を受賞する、超売れっ子作家。

代表作に『重力ピエロ』 『砂漠』 『グラスホッパー』

などがある。

『ゴールデンスランバー』のあらすじ

仙台で開かれた凱旋パレードのさなか、ラジコンヘリを使った爆弾で首相が暗殺される。

その直後、主人公・青柳雅春は首相暗殺犯として仕立て上げられてしまう。

かつてアイドルを救ったことで世間に名が知られていた彼は、メディアの格好の餌食となり、圧倒的な権力と世論に追われていく。

状況がつかめないまま巨大な陰謀に巻き込まれていく青柳は、逃走を重ねるが徐々に追い詰められていく。

信じて助けてくれる仲間もいれば、信じられない裏切りもある。逃げ場を失いながらも必死に走り続ける青柳。

はたして彼は、逃げきることができるのか。そして、事件の真実にたどり着けるのか。

手に汗握るハードボイルドな逃走劇が、今はじまる──。

『ゴールデンスランバー』のおすすめポイント3選(感想込み・ネタバレなし)

ポイント チェックリストの横に虫眼鏡とペンが置いてある

『ゴールデンスランバー』は、主人公の青柳雅春が総理暗殺の濡れ衣を着せられるところから、物語が始まります。

そこからはもう、手に汗握る逃走劇

フィクションだと知りながら読み進めても、脳を駆け巡る現実味のある恐怖感は本物。

そんな『ゴールデンスランバー』の魅力を、【登場人物ストーリー伊坂節】3つのポイントに分けて紹介していきます!

【登場人物】個性がないからこその魅力!主人公は一般人

一般人 複数の人形が集まって立っている

『ゴールデンスランバー』の登場人物は、そのだれもが一般人なんです。

だからこそ、本作の怖さが際立ちます。

物語の主人公はスーパーマンじゃなくても務まるのだということを、本作が教えてくれます

【主人公】どこにでもいる一般人:青柳雅春

『ゴールデンスランバー』の主人公でありながら、どこにでもいるような一般人が、青柳雅春

とても優しい性格をしていて、恋人に割った板チョコの大きい方を渡すくらいには優しい青年。

数年前に、かつてのトップアイドルを暴漢から助け出し、一躍時の人になった過去があります。

青柳雅春は、冒頭でいきなり首相暗殺の濡れ衣を着せられます。

その瞬間から、彼は世界一不幸な男として逃亡を余儀なくされるわけです。

目に見えない権力や暴力。

徐々に追い詰められながらも、周りの助けや咄嗟の機転でギリギリの逃亡劇を繰り広げます。

【元恋人】陰から信頼を寄せる:樋口晴子

青柳雅春の元恋人。

夫・信幸と、娘・七美と暮らしている。

報道で青柳雅春が首相暗殺の罪で追われていることを知る。

青柳雅春がそんなことができる人間ではないことを信じて疑わない樋口晴子は、自分にできる限りのことをします。

一緒に逃亡するということはありませんが、樋口晴子の存在が青柳雅春を支えます。

【友人】森の声が聞こえる男:森田森吾

青柳雅春の大学時代の友人。

青柳雅春や友人と一緒に、青少年食文化研究会(ファストフード友の会)に所属していた。

彼が語る「習慣と信頼」という言葉が、孤独な逃走劇の重要な鍵となります。

【連続殺人犯】敵か味方か:三浦(キルオ)

逃亡中の青柳雅春の前に突如現れる、不気味な連続殺人犯。

敵か味方か、彼の存在が物語に深く関わってきます。

その他の登場人物

『ゴールデンスランバー』には、上で紹介した以外にも多くのキャラクターが登場します。

樋口晴子の元同僚である平野昌や、その恋人の菊池将門

左足を骨折して入院している田中徹や、同じ病室に両足骨折で入院している保土ヶ谷康志

青柳雅春たちが学生時代にアルバイトをしていた轟煙火の社長であるや、息子の轟一郎

数多くのキャラクターが登場し、その多くが青柳雅春の無罪を信じていたり逃亡の手助けをしてくれます。

そして、登場人物内で一番かっこよかったのが、青柳雅春の父親・青柳平一

登場するシーンは非常に少ないですが、彼がマスコミに囲まれた時に言い放ったセリフは、青柳雅春にはもちろん、読者の心にも刺さります

手足のある本
手足のある本

急に首相暗殺の濡れ衣を着せられる青柳雅春が不憫だボン

ウバ
ウバ

そうですね。

そのような状況から、あきらめずに逃亡を続ける青柳雅春には好感が持てます

【ストーリー】手に汗握る逃走劇!見えない敵と逃げ場のない舞台

逃走劇 追いかけている人形と追いかけられる人形

『ゴールデンスランバー』で描かれる逃走劇は、手に汗握るほどの熾烈さ

何もわからないまま首相暗殺の容疑で追われることになった青柳雅春は、誰を信じていいのかすらわからないまま逃げ続けます。

本作の一番怖い部分は、物語の敵が『何者なのか』が見えないところです。

違法すら合法に変えるような、全貌が見えないほど巨大な陰謀に追われることになった青柳雅春。

さらには、逃走する彼の情報は全国で報道されます。

過去の出来事(アイドルを助けた事など)も根掘り葉掘り報道され、まるで悪人のような人物像に仕立て上げられる。

そのような情報操作によって、国中が青柳雅春の敵になって追い詰めてきます。

舞台設定も怖い

物語の舞台である仙台市には、セキュリティーポッドとよばれる装置が街中に設置されています。

その装置にはカメラが内蔵されていて、誰がいつどこを通ったかが瞬時にわかるようになっています。

セキュリティーポッドは携帯電話などの電波も傍受していて、通話内容まで完全に筒抜け状態。

そのような状態での逃走劇は必見です

本作は、ただ逃走劇を描いているだけではありません。

逃走劇と並行して、青柳雅春たちの学生時代が描かれます。

学生時代パートはとても穏やかで、恋人時代の樋口晴子や森田森吾たちとのやり取りは読んでいて面白いです。

そんな学生時代パートと、現在の逃走パートが交互に描かれながら物語が展開されていきます。

学生時代パートで描かれることが、現在の逃走パートに深く関わってくる構図になっていて面白い。

何気ないエピソードやセリフ、小道具などが伏線になっていて、最後にキレイに回収していく様は圧巻の一言です

首相暗殺の本当の犯人は誰なのか。

事件の真実はどこにあるのか。

まったくわからないまま追われ続ける青柳雅春。

『見えない敵に追われる恐怖』を描いた、手に汗握るストーリーは一読の価値ありです

手足のある本
手足のある本

手に汗握る逃走劇というより、これはもうホラーだボン

ウバ
ウバ

まさにホラーですね。

徐々に追い詰められていく青柳雅春の立場が、もし自分だったと考えたら怖いです。

【伊坂節】怖いストーリーも穏やかに!独特で軽やかな言い回し

人形が横一列に並んで会話をしている

『ゴールデンスランバー』は、最初から最後まで一気に駆け抜ける物語です。

青柳雅春の逃走劇は、目に見えない巨大な陰謀や情報操作に踊らされた民衆の恐怖など、読んでいて怖いと思うシーンが多くあります。

なのに、面白い

読み心地は軽やかで、嫌味なく読み進めることができます。

その理由は『伊坂節』にあります。

『伊坂節』とは、著者である伊坂幸太郎さん特有の、独特でユーモラスな言い回しの事を指します。

この『伊坂節』が、首相暗殺や逃走劇という、少し重めのストーリーを軽やかにしてくれています。

物語の冒頭、樋口晴子が元同僚の平野昌と蕎麦屋で4年ぶりに会うシーン。

出だしからすでに面白い。

「じゃなくてさー、晴子ちゃんがだよ。本当に子持ちなわけ」

「四歳と九ヵ月」

「わたしは、三歳と三三九ヶ月」平野昌は真面目な顔で言う。

「暗算?」

「合コンでよく使うからね、これ」

平野昌のキャラが立っていますね。

『伊坂節』に魅了されたら最後。

どんどんページをめくってしまいます

とくに学生時代パートがまろやか。

伊坂節全開で描かれる学生時代は、まさに「これぞ青春!」と言いたくなるような魅力が詰まっています。

首相暗殺の濡れ衣で逃走するストーリーを読んでいるはずなのに、どんどん穏やかな気持ちになってしまいます。

手足のある本
手足のある本

ユーモア全開の『伊坂節』がクセになるボン

ウバ
ウバ

私は完全に『伊坂節』に心奪われたひとりです。

他の伊坂幸太郎作品でも遺憾なく発揮されています。

紹介記事を書いていますので、よろしかったらご訪問ください。

伊坂幸太郎作品レビュー一覧

さいごに

さいごにと書かれたブロックが置かれている

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『ゴールデンスランバー』を読みたいと思っていただけたら幸いです。

本作は、伊坂幸太郎さんの作品の中でもとくに人気のある作品で、伊坂さんの魅力がギュッと詰まっています。

本格的なサスペンスでハードボイルドなストーリーでありながら、穏やかな青春ストーリーも楽しめます。

いきなり首相暗殺の濡れ衣を着せられ、読者も驚くスピードで走り出すストーリー。

誰が敵かもわからない。

それでも信じてくれる人がいる。

絶妙なタイミングで挟まれる学生時代のストーリー。

どこをとっても最高の作品です

タイトルの由来にもなっているビートルズの楽曲『Golden Slumbers(黄金のまどろみ)』のように、切なくも美しい余韻が残るラストは必見です。

ひとりの男の逃走劇を描く珠玉の一冊

伊坂幸太郎さん『ゴールデンスランバー』

一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

最後の最後に。

『ゴールデンスランバー』が面白いと思った方は、他の伊坂幸太郎作品も紹介していますので、よろしかったらご訪問ください。

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

プロフィール
この記事を書いた人
ウバさん

佐世保の隅っこで読書をしているオッサン。
妻と二人の子どもと共に細々と生きています。
読書の面白さを広めたくてブログを開設。
『ウバログ』が読書好きの溜まり場なるように頑張っていきます!

ウバさんをフォローする
本紹介
シェアする
ウバさんをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました