伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』感想レビュー│読書嫌いを克服した珠玉の一冊

アヒルと鴨のコインロッカー 感想レビュー 本紹介
ウバ
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伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』は、書店強盗から始まる物語。

物騒なはじまりなのに、やさしい気持ちになれる読了感は、読者の心を掴んで離しません

普段から読書をしている人はもちろん、あまり読書をしない人にもおすすめの一冊です。

そんな本作のおすすめポイントを、実際に読んだ感想と共に紹介していきます。

この記事で、皆様の読書ライフを豊かにしたい

それじゃあ、さっそくいってみよー

衝撃度5.0
読みやすさ3.5
言い回し4.5
読書初心者おすすめ度3.0
『アヒルと鴨のコインロッカー』の評価
この記事でわかること
  • 『アヒルと鴨のコインロッカー』のあらすじ
  • 『アヒルと鴨のコインロッカー』のおすすめポイント(登場人物・構成・言い回し)
  • 読書の面白さ

基本情報

タイトルアヒルと鴨のコインロッカー
著者伊坂幸太郎
出版社創元推理文庫(東京創元社)
発行年2003年
ジャンルミステリー/サスペンス

第25回吉川英治文学新人賞受賞

2007年映画化

伊坂幸太郎

2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。

以降、様々な文学賞を受賞する、超売れっ子作家。

代表作に『重力ピエロ』『マリアビートル』『ゴールデンスランバー』などがある。

『アヒルと鴨のコインロッカー』のあらすじ

大学入学のために仙台に引っ越してきた椎名は、引っ越し先のアパートで出会った河崎に「一緒に本屋を襲わないか?」と持ちかけられる。

初対面なのに、だ。

標的は一冊の広辞苑。同じアパートに住むブータン人へのプレゼントらしい。

そんな話に乗る気などなかったはずの椎名は決行の夜、モデルガン片手に書店の裏口に立っていた。

この出来事と同時に語られる、2年前の河崎琴美ドルジの物語。

ふたつの話が重なり合う時、物語は驚きの結末へと導かれる──。

『アヒルと鴨のコインロッカー』のおすすめポイント3選(感想込み・ネタバレなし)

『アヒルと鴨のコインロッカー』は、読者を驚かせる仕掛けと、伊坂幸太郎さん特有の言い回し(伊坂節)が癖になる一冊です。

読み進めていくうちに、どんどん物語に没入していってしまうこと間違いなし

書店強盗の理由。

2年前の出来事との関係。

すべてが気になって、ページをめくる手が止まらない

そんな本作のおすすめポイントを3つに絞って紹介していきます。

ウバ
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ちなみに。

『アヒルと鴨のコインロッカー』は、私が読書好きになったきっかけの一冊です

【登場人物】 圧倒的な変人ぶりを発揮する河崎という男

登場人物 男女が後ろを向いて立っている

『アヒルと鴨のコインロッカー』には、魅力的な登場人物が多数登場します。

その中でも、主人公を差し置いて圧倒的な魅力を放つのが、河崎という男です。

彼の存在が、この物語の要といっても過言ではありません。

河崎は、物語の冒頭で主人公を書店強盗に誘った張本人です。

初対面で、たまたまアパートの隣に越してきた主人公・椎名を書店強盗に誘います。

書店強盗を企てる時点で変人なのですが、その犯行に初対面の人を誘うというところが、彼の変人ぶりに拍車をかけています。

現在のパートでは書店強盗、2年前のパートでは女たらしとして描かれていて、どこをとっても個性的なキャラクターです。

読めば読むほど、彼の変人ぶりと優しい一面が見えてきて、最終的には誰もが好きになってしまうキャラクターです。

主人公の椎名は、初対面の男に誘われた書店強盗を手伝うくらいにはお人好しなのですが、それ以外はごく普通の大学生です。

個性が強すぎないため、どの登場人物より感情移入しやすいキャラクターでもあります。

主人公に感情移入しやすいと物語そのものがすんなり入ってくるので、椎名は主人公として最高のキャラクターともいえます。

なぜ、彼が書店強盗に誘われたのか。

その理由は物語の後半にわかりますが、その程度の理由で誘われた椎名は災難だったなと思うこと必至です。

災難ではありますが、誘われたのが椎名だったからこそ物語がやさしいものになっています。

琴美ドルジは、2年前の物語で主人公的な立ち位置のキャラクターです。

正義感が強い琴美と、やさしくて頼りがいのあるドルジ。

ブータン人であるドルジは、とにかく穏やかで優しい存在です。

日本人とは少し価値観や宗教観が違うようで、その描かれ方も素晴らしいの一言。

河崎と同じで、読めば読むほどドルジのことを好きになります。

そんなドルジに日本語を教えているのが琴美の元恋人である河崎で、この3人のやり取りは本当に面白いです。

『登場人物が魅力的な小説は面白い』

これはどの作品でも言えることで、たとえストーリーが微妙でも、魅力的なキャラクターが登場していれば面白く感じるものです。

後述しますが、『アヒルと鴨のコインロッカー』はストーリーも秀逸なので、スキはありません

というわけで、まずひとつめのおすすめポイントは、読者を魅了する登場人物たちです。

手足のある本
手足のある本

ウバさんは初対面で書店強盗に誘われたらどうするボン

ウバ
ウバ

もちろん断ります

そういう意味では、断らなかった椎名もなかなかの変人なのかもですね。

【ストーリーと構成】 読者を唸らせるストーリーと伏線回収劇

構成 歯車が描かれたブロックが並んでいる

『アヒルと鴨のコインロッカー』は、とにかくストーリーが面白い

いきなり書店強盗からスタートする時点で面白いのですが、その理由が明らかになってくるあたりから衝撃のオンパレードです。

緻密に張られた伏線と、それを回収していく時の爽快感は素晴らしいの一言。

物語は現在と過去を切り替えながら進んでいきます。

現在と2年前のストーリーに少し温度差があり、過去の話はどことなく不穏な空気が漂っています。

琴美とドルジが巻き込まれたとある事件が、過去パートに不穏な空気を漂わせます。

その空気感が「このまま読み進めたら嫌なことになりそう」と読者に感じさせてきます。

一方で。現在パートはどことなくほのぼのとした空気が漂っていて、穏やかな気持ちで読み進めることができます。

これは、お人好しが歩いているかのような主人公・椎名の存在が大きいですね。

彼がストーリー全体にあたたかくて穏やかな空気を供給していることは間違いなしです

過去と現在を切り替えながら進んでいく構成もさることながら、終盤に襲いくる伏線回収からの衝撃的な真実。

2年前の出来事が現在の出来事にどう影響しているのか。

なぜ河崎は書店強盗を企てたのか。

それらが見えてくる後半は、本当にページを捲る手が止まらなくなります。

で。

真実が見えてからの優しさ。

驚かせるだけではなく、しっかりやさしい気持ちにさせてくれるラスト。

読者の心をしっかり揺さぶってくるストーリーと構成力には脱帽です。

というわけで、『アヒルと鴨のコインロッカー』おすすめポイントふたつめは、読者を唸らせるストーリーと巧みな構成です。

手足のある本
手足のある本

後半に待っている真実が気になってきたボン

ウバ
ウバ

先が読めない展開で、後半はすごく衝撃的でした。

現在と過去が複雑に絡み合う本作。「あれ、これどうなってたっけ?」と混乱しそうな時は、『読書ノート』で相関図をメモしながら読むのがおすすめです!
私が実践している簡単なノート術も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
読書を無駄にしない!読書ノートの書き方と続け方のコツ

【言い回し】 読めば必ず好きになる『伊坂節』

メモに言葉と書かれている 言い回し

『アヒルと鴨のコインロッカー』最大のおすすめポイントは、著者である伊坂幸太郎さん独特の言い回しです。

私はこれを勝手に『伊坂節』とよんでいます。

読めば読むほど、その独特な言い回しがクセになってきます。

たとえばこんなセリフがあります。

楽しく生きるには二つのことだけ守ればいいんだから。車のクラクションを鳴らさないことと、細かいことを気にしないこと。それだけ。

いちいちおしゃれなんです。

それでいてくどいと感じることはなく、すぅっと心に浸透してくるセリフが多く登場します。

そんな伊坂節が、物語をより一層面白くしてくれています。

しかもです

そんな何気ないセリフの中に小さな伏線が仕込まれていたり、後になって「ああ、だからあの時あんなこと言ったのか……」となったりしているので気が抜けません。

おしゃれなだけではないのが伊坂節のいいところ。

名言も多く、読み終わった後もしっかり読者の心に残り続けます。

本当に名言だらけなのですが、ここでは『アヒルと鴨のコインロッカー』に登場する言葉で強く心に残っている言葉をふたつ紹介します。

人というものは、行動すべき時に限って、億劫がるのかもしれない

人というものは、慎重にことを運ぶべき時に限って、行動を急いでしまうのかもしれない

私はこの言葉に強く納得させられて、読んだのは何年も前なのにしっかり心に残っています。

本作には、これら一文のような、読者にいい影響を与える名言が多数登場します。

ただ独特でおしゃれというだけではなく、読者にしっかりと影響を与える伊坂節が、『アヒルと鴨のコインロッカー』最大のおすすめポイントです!

手足のある本
手足のある本

伊坂節……クセになるのもわかる気がするボン

ウバ
ウバ

伊坂節が気に入ってしまったら、そのまま伊坂幸太郎さんが好きになってしまいます。

私はそれを『伊坂沼』とよんでいます。

私はこの一冊で『伊坂沼』に足を踏み込みました

さいごに

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『アヒルと鴨のコインロッカー』を読んでみたいと思っていただけたら幸いです。

上でも少し触れましたが、私は本作を読んで読書の面白さに気づきました。

本作は本格的なミステリー小説であり、なおかつ文庫本で350ページを超える長編なので、途中で読了を断念する方もいるかもしれません。

それなのに、まったく読書をしてこなかった私でも最後まで読み進めることができたのは、本作の読み心地が軽やかだからです。

書店強盗から始まって、物語が進むにつれて漂う不穏な空気。

椎名と河崎とのやり取り。

琴美とドルジとのやり取り。

後半からの怒涛の展開。

それらを重く感じさせない伊坂節。

気づけば夢中になって読み進めていました

ストーリーの面白さはもちろん、伏線回収の気持ちよさや思いもよらない結末など、「読書って面白い!」と思わせる力が本作にはあります。

書店強盗から始まるやさしい物語

伊坂幸太郎さん『アヒルと鴨のコインロッカー』

一度、手に取られてはいかがでしょうか。

最後の最後に。

『アヒルと鴨のコインロッカー』が面白いと思った方は、伊坂幸太郎さんの他作品の紹介記事も書いていますので、ぜひあわせて読んでみてください。

読書愛好家の方にはもちろん、読書初心者の方にもおすすめの作品ばかりです

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

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