伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』感想レビュー│前作超えの伏線回収!読書初心者におすすめな理由

アイキャッチ 陽気なギャングの日常と襲撃 本紹介
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あの4人組が帰ってきた

伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングの日常と襲撃』は、陽気な四人組の強盗が様々な事件に巻き込まれる物語です。

前作『陽気なギャングが地球を回す』からパワーアップして帰ってきた4人組が、本作でも読者を魅了します

そんな『陽気なギャングの日常と襲撃』のおすすめポイントを、実際に読んだ感想や前作との比較とともに紹介していきます。

それじゃあ、早速いってみよー

前作をまだ読んでいない方や、どんな話だっけ?と振り返りたい方は、まずこちらのレビューをチェックしてみてくださいね。
伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』感想レビュー│読書初心者にハマる最高傑作

面白さ5.0
ストーリー4.5
キャラクターの魅力5.0
読書初心者おすすめ度4.0
『陽気なギャングの日常と襲撃』の評価
この記事でわかること
  • 『陽気なギャングの日常と襲撃』のあらすじ
  • 『陽気なギャングの日常と襲撃』のおすすめポイント3選(登場人物・ストーリー構成・会話劇)
  • 前作との違い

基本情報

タイトル陽気なギャングの日常と襲撃
著者伊坂幸太郎
出版社祥伝社
発行年2006年
ジャンルクライムサスペンス/コメディ
伊坂幸太郎

2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。

以降、様々な文学賞を受賞する、超売れっ子作家。

代表作に『重力ピエロ』『マリアビートル』『ゴールデンスランバー』などがある。

『陽気なギャングの日常と襲撃』のあらすじ

嘘を見抜く達人は刃物男騒動に。

演説の達人は幻の女探し。

精密な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。

天才スリ師は殴打される中年男に遭遇して──。

4人組強盗団が巻き込まれたそれぞれの奇妙な事件。

さらに。

華麗な銀行襲撃の裏で社長令嬢誘拐が連鎖する

愉快な4人組は、今回も困難を乗り越えることができるのか──。

『陽気なギャングの日常と襲撃』のおすすめポイント3選(感想込み・ネタバレなし)

『陽気なギャングの日常と襲撃』は、前作に負けないくらいに面白い

パワーアップして帰ってきた4人組や伏線回収の気持ちよさなど、とにかく魅力たっぷりな一冊となっています

前作同様シンプルなストーリーは、読書初心者にもおすすめ。

読んで後悔なしの、『陽気なギャングの日常と襲撃』のおすすめポイントを、3つに絞って紹介していきます。

個性の輝きは今作も健在!魅力あふれる登場人物たち

登場人物 人の形をしたフィギュアが横一列に並んでいる

陽気なギャングシリーズのおすすめポイントを紹介するのなら、彼らに触れないわけにはいきません

それはずばり、強盗団4人組です。

本シリーズの主人公たちで、彼らの魅力に溺れるための一冊といっても過言ではありません

そんな4人組の紹介をしていきます。

【人間嘘発見器・成瀬(なるせ)】冷静沈着な強盗団のリーダー

4人組のリーダー的存在の成瀬。

他人の嘘を正確に見抜く能力を持っていて、百発百中で見抜くことができます。

普段は市役所に勤めていて、用意周到、冷静沈着な男性として描かれています。

別れた妻との間に、自閉症の息子・タダシがいます。

あまりにも冷静すぎて、職場の部下からは『明日から横浜市は海に沈みます、って言われても、慌てない感じ』と言われています。

そんな成瀬は、『陽気なギャングの日常と襲撃』では刃物男騒動に巻き込まれてしまいます。

その騒動の中でも、成瀬は冷静沈着な男でいられるのか必見です

【演説の達人・響野(きょうの)】口から生まれたお喋りな悪友

でたらめにでたらめを重ね、誰に頼まれるでもなく、止めどなく喋ることができる演説の達人

この男は、実は『口から生まれました』と言われても納得してしまうような人物です。

強盗団が活躍する作品は数多くありますが、その中で『演説の達人』が活躍する作品は陽気なギャングシリーズだけでしょう。

愛する妻・祥子と共に喫茶店を経営しており、彼の淹れるコーヒーは不味いともっぱらの評判。

成瀬とは学生時代からの付き合いで、成瀬曰く『悪友』とのこと。

『陽気なギャングの日常と襲撃』では、喫茶店の常連客と幻の女探しをする羽目に。

果たして、幻の女は実在するのか。それとも本当に幻なのか。

そんなことより、響野のお喋りが止まらない……。

必見です

【精密な体内時計・雪子(ゆきこ)】天才的な運転技術を持つ女性

強盗団の中では紅一点のキャラクター。一人息子の慎一と暮らしている。

コンマ1秒の狂いもない精密な体内時計を持っています。

ドライビングテクニックも相当なもので、強盗が成功するのは彼女の運転のお陰と言っても過言ではありません。

クールな女性として描かれていて、美人というよりは『かっこいい大人』らしい。

『陽気なギャングの日常と襲撃』では、派遣先の同僚に届いた謎の招待状の真意を追うことになります。

意外に乙女な部分を見せつつ、ここぞという時に見せる大胆不敵な行動力は必見です

【スリの達人・久遠(くおん)】自然と動物をこよなく愛する青年

強盗団内で最年少。自然と動物をこよなく愛しており、彼の中では『動物>人間』という優先順位が確立しています。

スリの達人で、誰にもバレずに物を抜き取ったり入れたりすることができます。

『売上』が手に入るとニュージーランドに羊を見に行っているらしい。
※『売上』とは、強盗で手にしたお金のこと

ほんわかした雰囲気を持つ好青年で、成瀬曰く「誰よりもタダシのことを理解しているのは久遠だろう」とのこと。

『陽気なギャングの日常と襲撃』では、殴打されている中年男性に遭遇します。

そこから男性と一緒に殴打した犯人を捜すために行動を共にします。

久遠の醸し出すほんわかした空気を全力で味わえるエピソードは必見です

【響野の妻・祥子】うるさい夫を持つ若々しい女性

演説の達人である響野の妻。

年齢の割に若々しく見えると評判の、少女みたいな女性として描かれています。

誰からも好感を持たれるキャラクターで、うるさい旦那に手を焼いている。

同著者の作品である『アヒルと鴨のコインロッカー』に、主人公・椎名の叔母として名前が登場している。

彼女自身は強盗団ではないが、『陽気なギャングの日常と襲撃』のボーナストラックとして彼女を主人公とした短編が描かれている。
※祥子が主役のボーナストラックは、『陽気なギャングの日常と襲撃』の文庫本のみ収録

このボーナストラックを読めば、彼女が誰からも好意を持たれる理由がわかります。

読者の心をあたためる、やさしいエピソードは必見です

その他の登場人物たち

陽気なギャングシリーズは、とにかく4人の強盗団の魅力が凄まじいのですが、脇を固めるキャラクターも魅力的です。

とくに『陽気なギャングの日常と襲撃』は多くのキャラクターが登場します。

前作から引き続き登場する、合鍵から盗聴器まで何でも作ってしまう田中や、成瀬の一人息子であるタダシ

BAR『黒磯』のマスター・黒磯や、謎の招待状を貰った鮎子さんなど、多数のキャラクターが物語を盛り上げてくれています

というわけで、『陽気なギャングの日常と襲撃』のおすすめポイントひとつめは、『個性の輝きは今作も健在魅力あふれる登場人物たち』です

手足のある本
手足のある本

前作に引き続き響野のお喋りが凄かったボン

ウバ
ウバ

そうですね。

彼が無口になる日なんてないのでしょうね……。

最初から最後まで楽しめる!前半と後半に分かれるストーリーと構成

構成 歯車が描かれたブロックが並んでいる

『陽気なギャングの日常と襲撃』は、ストーリーの構成もおすすめポイント1つです。

内容は前作同様、簡単に言えば、『強盗団が繰り広げるドタバタ劇』です。

そんなシンプルなストーリーが、読者の心をこれでもかと魅了してくれます。

タイトル通り前半は強盗4人組の日常を描いて、後半で襲撃といった具合に分かれています。

日常とはいえしっかり面倒ごとに巻き込まれているあたり、この4人組は普段から大忙しです。

登場人物紹介で軽く触れたように、

  • 成瀬刃物男騒動
  • 響野幻の女探し
  • 雪子謎の招待状の真意
  • 久遠殴打されている中年男性に遭遇

と、それぞれが別々の面倒ごとに巻き込まれます。

短編で描かれている日常パートはそれぞれの個性が色濃く出ていて、それだけ読んでも面白いです

それぞれのパートに当てられたタイトルにはことわざが起用されていて、巻き込まれた事件とキャラクターの個性にピッタリなのもポイント。

  • 成瀬『巨人に昇れば、巨人より遠くが見える』
  • 響野『ガラスの家に住む者は、石を投げてはいけない』
  • 雪子『卵を割らなければ、オムレツを作ることはできない』
  • 久遠『毛を刈った羊には、神も風をやわらげる』

各パートは短編で描かれていますが、その中でしっかりタイトル回収してくれています。

後半は強盗の裏で起きていた『社長令嬢誘拐』に巻き込まれていきます。

仲間の1人が監禁されたり救出したり、とある場所に突撃したりと大忙しです。

そして、前半の日常パートと後半の襲撃パートが、すべてひとつの線で繋がっているというところがポイント

前半で起きた事件が後半の襲撃パートに繋がっていたり、登場人物が後半の事件に関わっていたりと、見落とし厳禁。

クライマックスに向かうにつれてどんどん伏線回収が待っていて、最後まで楽しめるストーリーになっています

そして、最後に待っているボーナストラック。

響野の妻である祥子が主人公のストーリーは、本当にやさしくてあたたかいストーリーとなっています。

本編とはまったく関係のないストーリーですので、ここだけ読むだけも十分に楽しめます

ちなみにタイトルは、『海には、逃がしたのと同じだけのよい魚がいる』です。

いちいちオシャレなのも好感が持てます

というわけで、『陽気なギャングの日常と襲撃』のおすすめポイントふたつめは、『最初から最後まで楽しめる!前半と後半に分かれるストーリーと構成』です

手足のある本
手足のある本

短編と長編が同時に楽しめるような一冊だボン

ウバ
ウバ

まさにその通りの一冊だと思います

ちなみに。

祥子は同著者の作品である『アヒルと鴨のコインロッカー』の主人公・椎名の叔母です。

ボーナストラックの中で少し触れられていて、椎名の今を知ることができます。

未読の方は紹介記事を書いていますので、ご訪問いただけたら幸いです。

伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』感想レビュー│読書嫌いを克服した珠玉の一冊

そこだけ抜き取っても面白い!『伊坂節』で展開される会話劇

会話 4つの人形が横一列に並んでいて会話をしている

『陽気なギャングの日常と襲撃』には、そこだけ読んでも十分に楽しめる会話劇が多く登場します。

『伊坂節』全開で繰り広げられる会話劇は、そのどれもがユーモラスで面白い
『伊坂節』とは、伊坂幸太郎さん特有の言い回しの事を私が勝手にそう呼んでいます。

たとえば、これは4人組のやりとり。

「私も一緒に行こうじゃないか」響野が腕を組み、多忙な上司が、部下のために無理をして助太刀することを決断したかのような、言い方をした。

「急に不安になってきたな」成瀬は言う。

「わたしも」と雪子がうなずく。「私も心配になった」

「僕、やっぱりやめておこうかな」

「おいおい、私一人じゃ不安じゃないか」と響野が真剣に訴えた。

このシーンだけで、4人組の関係性がわかるような気がします。

「いつでもどこでもおまえは人の財布を掏るんだな。品がないよ」

「来年の七夕の時は、響野さんみたいに品のある人間になりたい、って短冊に書くよ」

「絶対書けよ」

「いやだ」

これは久遠と響野とのやりとり。

いちいちユーモアを感じることができて、読んでいて本当に面白いんです。

もうひとつ、久遠と響野とのやりとり。

「じゃあ、これは知ってるか?『わたしの夫以外はすべて良い夫に見える』」

「何それ」

「この間、祥子が言ってたんだ。誰の残した言葉なんだろうな。諺なんだろうが、意味が分からない」

「それは格言とか名言とかではなく、単に、思ったことをそのまま言っただけだよ」

「意味が分からない」

いやあ、面白いですね。

『陽気なギャングの日常と襲撃』では、このような会話劇が多く繰り広げられます。

会話劇以外でも『伊坂節』は全開。

それは本を開いて1ページ目から感じることができます。

これは前作にもあったのですが、目次の次ページで『なぜ本作の強盗団は4人組なのか』が書かれています。

それがすでに面白い

そこを読むだけで、これから面白い物語がはじまるぞと予感させてくれます。

というわけで『陽気なギャングの日常と襲撃』最後のおすすめポイントは、『そこだけ抜き取っても面白い!『伊坂節』で展開される会話劇』です

手足のある本
手足のある本

ウバさんの響野に対する愛が溢れているボン……。

ウバ
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いやあ、彼は面白いですね

本作イチ『伊坂節』が似合う男です

前作との違いとおすすめ度

比較 ふたつの人形の間に比較と書かれたブロックが置かれている

『陽気なギャングの日常と襲撃』は、伊坂幸太郎さんの陽気なギャングシリーズ2作品目となります。

前作に引き続き陽気な4人組が活躍するストーリーは、健在どころか更にパワーアップしています。

ここでは、前作との違いやおすすめ度などを紹介していきます

構成の違い

前作『陽気なギャングが地球を回す』は完全な長編小説で、最後までひとつのストーリーでした。

それに対して本作『陽気なギャングの日常と襲撃』は、ひとつのストーリーでありながら前半は連作短編集のようになっています。

その構成が2作品の違いで、前半に短編が続いている分読みやすく、本作は普段あまり読書をしない人でも手に取りやすくなっています。

さらに。

前半の短編部分で強盗団4人の個性や能力が色濃く描かれているため、前作を読んでいない人でも4人組の人物像を知ることができます。

そのため、本作から読んでも十分に楽しめるようになっています

どちらがおすすめか

シリーズものですので、もちろん前作の『陽気なギャングが地球を回す』から読むことを強くおすすめします

ただし上記した通り、前作を読まなくても楽しめるよう丁寧に書かれているので、本作から読むのもアリ

ストーリーの面白さは甲乙つけがたく、両作品とも最高に面白いです。

しかし。

前半部分の読みやすさ、読み進めていくうちにひとつの線に繋がっていく気持ちよさを考慮すると、本作『陽気なギャングの日常と襲撃』の方がおすすめです

『本作を読んで面白いと思ったから前作も読む』という順番でも楽しめます

さいごに

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『陽気なギャングの日常と襲撃』を読んでみたいと思っていただけたら幸いです。

陽気な奴らが帰ってきた

前作から更にパワーアップして帰ってきた強盗団4人組が、読者の心まで奪っていきます。

キャラクターの魅力を描いた前半部分と、チームプレイを楽しめる後半部分の2部構成で描かれる本作は、読者を選ばず楽しめます。

『伊坂節』全開で繰り広げられる、強盗団のドタバタ劇

伊坂幸太郎さん『陽気なギャングの日常と襲撃』

一度、手に取られてはいかがでしょうか。

最後の最後に。

『陽気なギャングの日常と襲撃』が面白いと思った方は、他の伊坂幸太郎作品も紹介していますので、よろしかったらご訪問ください。

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

プロフィール
この記事を書いた人
ウバさん

佐世保の隅っこで読書をしているオッサン。
妻と二人の子どもと共に細々と生きています。
読書の面白さを広めたくてブログを開設。
『ウバログ』が読書好きの溜まり場なるように頑張っていきます!

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