伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』感想レビュー│ネタバレなしで見どころ解説

バイバイ、ブラックバード 感想レビュー 本紹介
ウバ
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伊坂幸太郎さんの『バイバイ、ブラックバード』は、『あのバス』にのせられる運命にある男・星野一彦が主人公の連作短編集。

監視役の繭美と共に、5股をかけている恋人たちに別れを告げる旅を描いています。

太宰治の未完にして絶筆となった、「グッド・バイ」へのオマージュ作品となっています。

ユーモアに溢れる本作の魅力を、実際に読んだ感想と共に紹介していきます。

それじゃあ、早速いってみよー

ストーリー3.5
ユーモア4.5
感動3.5
読書初心者おすすめ度5.0
『バイバイ、ブラックバード』の評価

『バイバイ、ブラックバード』の基本情報

タイトルバイバイ、ブラックバード
著者伊坂幸太郎
出版社双葉社
発行年2010年
ジャンルエンターテインメント

2016年 ドラマ化

『バイバイ、ブラックバード』のあらすじ

主人公:星野一彦は、<あのバス>でどこかへ連れていかれることが決まっている。

その日まであとわずか。

監視役として彼のそばにいるのは、不愛想で毒舌、身長190㎝・体重200㎏の女性:繭美。

「あのバスに連れていかれる前に、五人の恋人たち全員に別れを告げたい」という星野の願いは、「面白そうだから」という理由であっさり許可が下りた。

星野は、繭美と共に一人ずつ恋人の元を訪ね、「彼女と結婚する」という苦しい嘘で別れを切り出していく。

はたして星野は、五人全員ときれいに別れられるのか?

そして本当に<あのバス>に乗ってしまうのか?

ユーモアたっぷりで描かれる、星野と繭美の奇妙な“別れ旅”が今、始まる――。

『バイバイ、ブラックバード』のおすすめポイント3選(登場人物・会話劇・読みやすさ)

ポイント チェックリストの横に虫眼鏡とペンが置いてある

『バイバイ、ブラックバード』は、星野一彦を主人公にした連作短編集です。

絶賛5股中というどうしようもない星野一彦と、態度も身体も大きい繭美が繰り広げる旅は、読者の心を掴んで離しません

シンプルなストーリーでありながら、優しい読後感を与えてくれる本作を【登場人物・会話劇・読みやすさ】に分けて紹介していきます。

【登場人物】星野一彦と5人の恋人たち+繭美

チョークが7本並んでいる

『バイバイ、ブラックバード』の登場人物は、主人公の星野一彦と5人の恋人。それと、監視役の繭美だけ覚えておけば大丈夫。

ここでは、主人公の星野一彦と繭美。そして、5人の恋人たちを紹介していきます。

魅力的なキャラクターが豊富な小説は面白い!

【主人公】5人の女性と交際する純粋な男:星野一彦

『バイバイ、ブラックバード』の主人公で、あのバス>に乗ることが決まっている。

5人の女性と交際している最低な男性ですが、純粋でどこか好感が持てるキャラクターとして描かれています。

本作を読んで、彼を嫌いになる人はおそらくいません。

後述する繭美の存在感がとんでもなく大きいんですが、星野一彦もなかなかの大物です。

【監視役】BALENCIAGAに身を包む大柄な女性:繭美

星野一彦が逃げないように監視をしている女性。

身長190㎝・体重200㎏の体躯で、肌が白くてブロンド髪をしている。

態度が大きく、口も悪い。

BALENCIAGAを着用していることが多い。

つねに辞書を持ち歩いていて、『常識』や『マナー』、『気遣い』や『悩み』といった項目は黒く塗りつぶされています。

繭美が主人公と言われても違和感がないほど、本作で一番目立つ存在です。

【恋人】星野一彦の5人の恋人たち

本作には5人の恋人たちが登場します。

その誰もが個性的で、星野一彦が惹かれるのも納得です

  • 広瀬あかり⇒苺狩りで出会う。不倫をしていた過去がある。
  • 霜月りさ子⇒車道の真ん中で出会う。一人息子の海斗と暮らしている。
  • 如月ユミ⇒夜の大通りで出会う。常にロープの束を持ち歩いている。
  • 神田那美子⇒耳鼻科で出会う。数字が得意で、物事を数字で覚える。
  • 有栖睦子⇒スポーツドリンクのCM撮影現場で出会う。有名女優。

各エピソードで彼女たちの魅力が爆発し、読めば読むほど「なぜ星野が5股できたのか(なぜ皆から愛されたのか)」が腑に落ちる構造になっています。

手足のある本
手足のある本

繭美の存在感が大きすぎるボン

ウバ
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身体だけではなく、態度も大きいですからね。

しかし、読み進めていくうちに惹かれてしまった私がいます

【会話劇】シンプルなストーリーとウィットに富んだ会話劇

会話劇 人形が横に並んで会話をしている

『バイバイ、ブラックバード』は、そのほとんどが会話劇で構成されています。

ストーリーはシンプルで、星野一彦が繭美とふたりで5人の恋人たちに別れを告げる旅をするというもの。

星野一彦は<あのバス>に乗ることになっていて、一度乗ってしまえば日常の生活には戻れない。

二度と会えなくなる前に恋人たちとしっかり別れたい。

そんな星野一彦の希望を叶える物語です。

そんなシンプルなストーリーを、濃厚な一冊に押し上げているのが、登場人物たちの軽妙な会話劇です。

とにかくウィットに富んだセリフの連発で、エンターテインメント小説としては完璧

ストーリーのシンプルさが相まって、良い意味で『何も考えずに楽しめる小説』になっています。

「哺乳類は妊娠するんだよ!わたしを何だと思ってんだ」

君が何なのか僕も知りたい、と言いたくなる。

とあるシーンの星野一彦と繭美の一幕。

いちいちオシャレで面白いですね。

このような軽妙で独特な言い回しを、通称『伊坂節』とよびます。

『伊坂節』全開で描かれる会話劇は、一読の価値アリです

ちなみに。

たびたび登場している<あのバス>ですが、その正体は最後まで正確には描かれていません。

マグロ漁船みたいだとか、ギアナ高地の奥まで連れていかれるだとか、すべてにおわせ程度で終わっています。

それが逆に恐怖を掻き立てていて、とても不気味です。

手足のある本
手足のある本

ここでも繭美の存在感が主役級だボン

ウバ
ウバ

態度が大きくてガサツで、言葉遣いも悪いんですけれどね。

その横柄さが『伊坂節』との相性がピッタリなんです

【読みやすさ】読書初心者の方でも手に取りやすい一冊

本が数冊積まれていて一番上の本が開いている

『バイバイ、ブラックバード』は、星野一彦を主人公とした連作短編集です。

ひとつひとつのエピソードは短く、簡単に読めてしまいます。

内容も非常にシンプルで、ただ男女の別れを描いたもの。

そのため、普段あまり読書をしない方でも手に取りやすい一冊になっています。

さらに

ただ短くて読みやすいというだけではなく、シンプルながら濃厚なストーリーと、登場人物たちのユーモラスなやり取りはクセになります。

散りばめられた何気ないセリフや小道具が、後半に鮮やかに繋がっていく爽快感はさすが伊坂幸太郎作品です。

切ないお別れの旅なのに、読み終わったあとには温かい涙と元気がもらえる不思議な魅力に満ちていて、『読書って面白いんだ』と気づかせてくれる一冊です

大どんでん返しが待っているような、読者を驚かせる仕掛け満載の小説ではありません。

エンターテインメントに振り切っていて、気づけば読んでしまっている。

『バイバイ、ブラックバード』には、そんな人たらしな魅力があります

手足のある本
手足のある本

人たらしみたいな魅力って、まるで星野一彦みたいだボン

ウバ
ウバ

まさにそうですね。

小説そのものが読者を魅了してやみません

まとめ

さいごにと書かれたブロックが置かれている

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『バイバイ、ブラックバード』を読んでみたいと思っていただけたら幸いです。

星野一彦と繭美のふたりが繰り広げる、5人の恋人たちとの別れ旅。

シンプルなストーリーでありながら、笑いも感動も詰め込まれた濃密さ。

読みやすさも抜群で、読書初心者にはもちろん、読書が好きな方にも刺さります

冒頭で、本作は太宰治さんの未完で絶筆の『グッド・バイ』へのオマージュ作品と書きました。

しかし、『グッド・バイ』を未読の方でも十分に楽しめる作品となっています。

はたして、星野一彦は<あのバス>に乗ってしまうのか。

伊坂幸太郎さん『バイバイ、ブラックバード』

一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

最後の最後に。

『バイバイ、ブラックバード』が面白いと思った方は、他の伊坂幸太郎作品も紹介していますので、よろしかったらご訪問ください。

伊坂幸太郎作品レビュー一覧
『ラッシュライフ』『マリアビートル』など、伊坂幸太郎作品のレビューをまとめています。初めて読む人にもおすすめの作品を紹介しています。読書の面白さを一緒に感じてください。

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

プロフィール
この記事を書いた人
ウバさん

佐世保の隅っこで読書をしているオッサン。
妻と二人の子どもと共に細々と生きています。
読書の面白さを広めたくてブログを開設。
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