不思議で優しい物語!伊坂幸太郎デビュー作『オーデュボンの祈り』

オーデュボンの祈り 感想レビュー 本紹介
ウバ
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伊坂幸太郎さんの『オーデュボンの祈り』は、喋る案山子が登場する摩訶不思議な物語。

独特な世界観で描かれる舞台・荻島。

個性豊かすぎる住人たち。

気持ちのいい伏線回収。

これらを味わえる本作は、読書好きな方はもちろん、普段あまり読書をしない方にもおすすめの一冊です。

『オーデュボンの祈り』のおすすめポイントを、実際に読んだ感想とともに紹介していきます。

それじゃあ、さっそくいってみよー

衝撃度4.0
読みやすさ3.5
摩訶不思議感7.0
読書初心者おすすめ度3.0
『オーデュボンの祈り』の評価
この記事でわかること
  • 『オーデュボンの祈り』のあらすじ
  • 『オーデュボンの祈り』のおすすめポイント(世界観・登場人物・伏線回収)

基本情報

タイトルオーデュボンの祈り
著者伊坂幸太郎
出版社新潮社
発行年2000年
ジャンルミステリー/ファンタジー

※第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞

※伊坂幸太郎デビュー作

伊坂幸太郎

2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。

以降、様々な文学賞を受賞する、超売れっ子作家。

代表作に『重力ピエロ』『マリアビートル』『ゴールデンスランバー』などがある。

『オーデュボンの祈り』のあらすじ

コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気がつくと見知らぬ島にいた。

江戸以来、外界から遮断された島『荻島』

この島には妙な人間ばかりが住んでいた。

見た目が熊そっくりな男。嘘しか言わない画家。拳銃を所持した、島で唯一殺人を許された男。

そして、未来予知ができる喋る案山子

次の日、案山子が何者かに殺される。無残にバラバラにされ、頭部を持ち去られて。

犯人は誰なのか。案山子はなぜ殺されたのか。

奇妙な島で巻き起こる不思議な事件。

事件の謎を追いながら、伊藤はこの島の掟と人間の本性に触れていく。

最後にたどり着く、切なくも不思議な「祈り」とは──。

『オーデュボンの祈り』のおすすめポイント3選(感想込み・ネタバレなし)

『オーデュボンの祈り』は、とても奇妙な一冊です。

まるで日本版『不思議の国のアリス』のような物語は、読み進めていくうちにだんだんクセになっていきます。

不思議な世界観が独特の言い回しで描かれていて、読み終わってからも頭から離れません。

そんな『オーデュボンの祈り』のおすすめポイントを3つに絞って紹介していきます。

【世界観】鎖国状態の島『荻島』が魅力的過ぎる!

非日常と書かれたブロックに人形が立っている

胸の谷間にライターをはさんだバニーガールを追いかけているうちに、見知らぬ国へたどり着く、そんな夢を見ていた。

このような書き出しで『オーデュボンの祈り』は始まります。

どんなストーリーだよとツッコミを入れたいところですが、そのままのストーリーだから驚きです。

コンビニ強盗に失敗して警察から逃げていた主人公・伊藤が、物語の舞台である『荻島』にたどり着くところから本作は動き出します。

『荻島』が不思議すぎる島で面白いんです

現代でありながら、江戸時代から外界との交流を断ってきた、いわば鎖国状態の島なのです。

そのため荻島には独自のルールが存在していて、島に流れる雰囲気はまるで『不思議の国のアリス』です。

さらに。

伊藤が島に着いてからは、怒涛の勢いでクセの強いキャラクターたちがどんどん登場します。

伊藤どころか、読者の理解が追い付かない勢いで登場してくるので、置いていかれないように注意しましょう。

そんなキャラクターたちが、舞台の世界観をさらに摩訶不思議なものへと変えていきます。

読み進めていくと、不思議と荻島の世界観に慣れている自分に気づきます。

島に流れる独特な空気に、いっそ荻島に住んでみたいとすら思わせてきます。

そんな摩訶不思議で独特な荻島という物語の舞台が、『オーデュボンの祈り』のおすすめポイントの一つ目です

手足のある本
手足のある本

摩訶不思議な世界観かぁ……気になるボン

ウバ
ウバ

本当に独特で摩訶不思議な島です。

しかし異世界というわけではなく、あくまでも現実世界と地続きというところが面白いんです

【登場人物】個性が暴走⁉クセの強い登場人物たち

登場人物 人の形をしたフィギュアが横一列に並んでいる

『オーデュボンの祈り』には、個性が豊かすぎる登場人物が多数登場します。

その内の何人かを紹介していきます

主人公・伊藤

物語の主人公は、伊藤という青年。

コンビニ強盗に失敗して、逃亡犯になります。

強盗を企てた理由もしょうもなく、しかも失敗するという少し頼りないキャラクターです。

そんな伊藤が島の住人と触れ合ううちにどう変わっていくのかというのが、本作の見どころの一つです。

コンビニ強盗犯とはいえ、本作の登場人物の中では相当にまともな人物として描かれています。

ここから先は、荻島の住人たちの紹介です。

喋る案山子・優午

『オーデュボンの祈り』に登場する案山子はしゃべります。

名前を優午といい、丘の上に立っています。

しゃべる案山子というだけで異常なのですが、彼は未来予知までできるのだから驚きです。

優午は本作の最重要キャラクターなのですが、物語の序盤で殺害されます。

バラバラに壊され、頭部を持ち去ってしまわれます。

なぜ優午は殺害されたのか。

殺害される未来を予知できなかったのか。

なぜ犯人は頭部を持ち去ったのか。

本作は、その真実を究明する物語です。

荻島の法律・桜

島で唯一、殺人が許された男が

拳銃を所持していて、『彼が撃てば、撃たれた奴が悪い』ということになっています。

とても物騒に感じますが、普段は詩集を読んで過ごす静かな男で、ミステリアスな魅力のあるキャラクターです。

桜は荻島の法律と言われています。

彼ら以外にも、とにかく個性豊かなキャラクターが多数登場します。

  • 嘘しか言わない画家
  • 地面に横たわって心臓の音を聞いている少女
  • 体重が300㎏くらいある女性

などなど。紹介するにはあまりにも多すぎて割愛させていただきます。

詳しくは実際に読んでお確かめいただけたらと思います

そして。重要なことが一つ

『オーデュボンの祈り』に登場するキャラクターの中には、他の伊坂幸太郎作品にも登場するキャラクターが多数います。

作品の枠を超えて、キャラクターと再会することは、少し感動的でもあります。

この先、伊坂幸太郎作品を読む機会があれば、再会することがあるかもしれません。

それもまた、読書の面白さです

主人公である伊藤は、『重力ピエロ』という作品に登場します)

特殊な舞台に負けないくらい、特殊な個性で描かれる登場人物たちが、『オーデュボンの祈り』の魅力の一つです

手足のある本
手足のある本

案山子がしゃべるなんて不思議過ぎだボン!

ウバ
ウバ

確かにそうですが、案山子が喋るくらいは普通に感じるくらいにはどのキャラクターも超個性的です
(本が喋っているのも不思議なんだけど……)

デビュー作でこの完成度!気持ちの良すぎる伏線回収

構成 歯車が描かれたブロックが並んでいる

『オーデュボンの祈り』には、大小さまざまな伏線が張り巡らされています。

上記の通り、摩訶不思議な舞台に個性的なキャラクターが多数登場する作品です。

読み進めながら、「私はいったい何を読んでいるんだ?」とすらなります。

しかし

だんだんと物語が展開していく中で、次々に伏線が繋がっていき、頭に浮かんでいた『』をすべて丁寧に回収してくれます。

個性的なキャラクターたちの不自然な行動。

何気ない一言。

言い伝えにある「島に欠けているもの」

優午の死。

それらすべてが繋がった時の爽快感は、とても気持ちがいいです

それでいて読み心地が軽やかなのもポイント。

世界観もキャラクターの個性も濃すぎるくらいに濃いのに、まったく胃もたれしない。

ハッピーエンドかバッドエンドか。

それすらわからないストーリーですが、最後まで優しいんです。

『オーデュボンの祈り』がデビュー作と知った時、私は本気で伊坂幸太郎さんの頭の中を覗いてみたいと思いました。

これほどの摩訶不思議を、これほど透き通った作品にできる。

脱帽です

『オーデュボンの祈り』のおすすめポイントのラストは、気持ちの良すぎる伏線回収です

手足のある本
手足のある本

うーん、どんどん読みたくなってきたボン

ウバ
ウバ

本当に面白い小説です。

ぜひ伏線回収の爽快感を味わってください

『オーデュボンの祈り』は万人受けではない?

男性が座って本を開いている

ここまで『オーデュボンの祈り』のおすすめポイントを書いてきましたが、本作は万人受けする小説とは、少し言い難いかもしれません。

というのも。

ストーリーが個性的過ぎるのです。

読み心地は軽やかで、内容もそこまで難解ではありません。

伊坂幸太郎さん特有の言い回しで展開される会話は面白いですし、読み進めるほどストーリーに引き込まれていきます。

それでも、やはり摩訶不思議すぎる世界観は読む人を選ぶと思います。

まず案山子が喋りますし、未来予知までしてのけます。

殺人が許されている人がいたり、巨大な女性がいたり。

そもそも物語の舞台が異空間みたいな空気ですからね。

そんな世界観が受け入れられない方には楽しめない可能性もあります。

しかし

万人受けしないからこそ、ハマった時の没入感は相当なものです。

万人受けする作品ではないかもしれませんが、面白いことは間違いなしです。

『オーデュボンの祈り』は、独特な読書体験ができる一冊だと思います。

ウバ
ウバ

私はこの独特な世界観に見事にハマってしまいました

さいごに

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『オーデュボンの祈り』を読んでみたいと思っていただけたら幸いです。

コンビニ強盗に失敗したと思ったら、異世界みたいな島で目覚める。

次々に登場する個性豊かなキャラクターたち。

そして、喋る案山子。

読者の理解が追い付かないまま走り出す摩訶不思議なストーリーは、読めば読むほど魅了されてしまいます

独特で摩訶不思議な世界観で描かれる、デビュー作にして最大の問題作

伊坂幸太郎さん『オーデュボンの祈り』

一度、手に取られてはいかがでしょうか。

最後の最後に。

『オーデュボンの祈り』が面白いと思った方は、伊坂幸太郎さんの他作品も紹介していますので、ご訪問いただけたら幸いです。

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

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