伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ』感想レビュー│陽気なギャングシリーズの集大成!

アイキャッチ 陽気なギャングは三つ数えろ 本紹介
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またまたあの4人組が帰ってきた!

伊坂幸太郎さんの『陽気なギャングは三つ数えろ』は、陽気なギャングシリーズ第3弾目の作品です。

前作から9年の時を経て、彼らは今回も面倒ごとに巻き込まれていきます。

ある意味で成長していない。

そんな4人組の活躍を楽しめる一冊となっています

そんな『陽気なギャングは三つ数えろ』のおすすめポイントを、実際に読んだ感想とともに紹介していきます!

それじゃあ、早速いってみよー

前作をまだ読んでいない方や、どんな話だっけ?と振り返りたい方は、まずこちらのレビューをチェックしてみてくださいね。
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ストーリー4.0
衝撃度3.5
キャラクターの魅力5.0
読書初心者におすすめ度4.5
『陽気なギャングは三つ数えろ』の評価
この記事でわかること
  • 『陽気なギャングは三つ数えろ』のあらすじ
  • 『陽気なギャングは三つ数えろ』のおすすめポイント3選(登場人物・ストーリー/伏線回収・言葉選び)
  • シリーズ通しての楽しみ方

『陽気なギャングは三つ数えろ』の基本情報

タイトル陽気なギャングは三つ数えろ
著者伊坂幸太郎
出版社祥伝社
発行年2015年
ジャンルクライムサスペンス/コメディ

『陽気なギャングは三つ数えろ』のあらすじ

陽気なギャング一味の1人・久遠は、ひょんなことから記者・火尻に正体を気づかれてしまう。

その直後から、メンバーの身近で様々なトラブルが頻発するように。

当たり屋・痴漢冤罪など、不気味な事件の連続に、ギャングの面々は追い詰められていく。

その状況を打開しようと動けば動くほど、状況は悪化していくのだった。

必死に火尻の急所を探る4人組だが、やがて絶体絶命のカウントダウンが始まる──。

『陽気なギャングは三つ数えろ』のおすすめポイント3選(感想込み・ネタバレなし)

ポイント チェックリストの横に虫眼鏡とペンが置いてある

『陽気なギャングは三つ数えろ』は陽気なギャングシリーズの3作目となります。

シリーズ通して描かれる『強盗団が繰り広げるドタバタ劇』は、読者の心を掴んで離しません

前作から9年。

しっかりパワーアップして帰ってきた4人組の魅力など、本作のおすすめポイントを3つに絞って紹介していきます。

シリーズを重ねるたびに濃くなっていく魅力!個性あふれる登場人物たち

登場人物 人の形をしたフィギュアが横一列に並んでいる

陽気なギャングシリーズを紹介するならば、まずは絶対におすすめしないといけないポイント。

強盗団4人組の魅力は『陽気なギャングは三つ数えろ』でも健在

シリーズを読まれている方にはもちろん、はじめて触れる方にも伝わるように、彼らの魅力を紹介していきます。

【人間嘘発見器・成瀬(なるせ)】冷静沈着な強盗団のリーダー

強盗団4人組のリーダー的存在の成瀬。

他人の嘘を正確に見抜く能力を持っていて、その精度は百発百中を誇ります。

強盗団は彼が持つ姿のひとつにすぎず、普段は市役所に勤務しています。

冷静沈着、用意周到な人物で、強盗団メンバーからも市役所の後輩からも慕われている男性です。

妻とは離婚しており、ふたりの間にタダシという一人息子がいます。

『陽気なギャングは三つ数えろ』では、痴漢冤罪に巻き込まれたり、ギャンブルに負けた響野の尻拭いをさせられたりと大忙しです。

【演説の達人・響野(きょうの)】口から生まれたお喋りな悪友

口から生まれたかのような男。

でたらめにでたらめを重ね、誰に頼まれるでもなく、誰に止められてもしゃべり続けることができる演説の達人

愛する妻・祥子と一緒に喫茶店を経営しており、彼の淹れるコーヒーは不味いともっぱらの評判。
(祥子の淹れるコーヒーはとても美味しいらしい)

成瀬とは学生時代からの付き合いで、成瀬曰く『悪友』とのこと。

物語を通して、強盗団が直面している事件がさらにややこしくなるのは、大体が響野のせいだったりします。

『陽気なギャングは三つ数えろ』では、しっかり活躍もしますが、やはり面倒ごとを引っ張ってきます。

ギャンブルで大金を負けるあたりも響野らしさ全開で、ストーリーのコメディ要素を一手に担っています。

【精密な体内時計・雪子(ゆきこ)】天才的な運転技術を持つ女性

強盗団の中では紅一点のキャラクター。一人息子の慎一と暮らしている。

コンマ1秒の狂いもない精密な体内時計を持っています。

ドライビングテクニックも相当なもので、そのふたつの能力を駆使して大活躍します。

クールでかっこいい女性として描かれていますが、息子の慎一のことは溺愛していて親バカな一面もあったりします。

『陽気なギャングは三つ数えろ』では、当たり屋に狙われてしまいます。

それ以外にも、普段では見られない変装した雪子が見られるのも本作だけ

【スリの達人・久遠(くおん)】自然と動物をこよなく愛する青年

強盗団内で最年少。自然と動物をこよなく愛しており、彼の中では『動物>人間』という優先順位が確立しています。

スリの達人で、誰にもバレずに物を抜き取ったり入れたりすることができます。

久遠がどこに住んでいるのかは強盗団のメンバーも知らず、彼と会うのは響野の喫茶店か動物園であることが多い。

動物愛は相当なもので知識も豊富。

ほんわかした雰囲気を持つ好青年として描かれています。

『陽気なギャングは三つ数えろ』では、火尻に強盗団のメンバーと気づかれてしまいます。

この出来事がきっかけとなって、本作のドタバタ劇がスタートします。

その他の登場人物たち

強盗団4人組の魅力はもちろん、脇を固めるキャラクターたちが魅力的なのも陽気なシリーズたらしめる要素のひとつ。

シリーズ通して登場する響野の妻である祥子は、年齢の割に若々しい女性で彼女と響野のやりとりは読んでいてほっこりします。
祥子は、同著者の『アヒルと鴨のコインロッカー』の主人公・椎名の叔母として作品内に名前が登場します。
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合鍵や盗聴器などなんでも作ってしまう田中も登場。普段は自宅に引きこもっている田中は、本作では珍しく自宅外で登場します。

本作の敵として登場する火尻は本当に嫌な奴に描かれていて、やはり敵はこうでなくっちゃと思わせてくれます。

登場人物の魅力に隙がなく、すべてのキャラクターがそれぞれの魅力を持って物語を盛り上げており、読者を一瞬も飽きさせません。

というわけで、『陽気なギャングは三つ数えろ』のおすすめポイント一つ目は、『シリーズを重ねるたびに濃くなっていく魅力!個性あふれる登場人物たち』です

手足のある本
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シリーズ最初からずっと変わらない4人組が本当に愛おしいボン

ウバ
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本当にそう思います。

読めば絶対に好きになってしまう陽気なギャングたちです

圧巻の伏線回収!最後まで楽しませてくれる最高のストーリー

STORYと書かれたブロックが並んでいる

これは陽気なギャングシリーズすべてに言えることなのですが、とにかくストーリーが面白いんです。

『陽気なギャングは三つ数えろ』では、メインのストーリーとして悪徳記者の火尻との戦いが描かれていますが、その出来事を取り巻く環境にも無駄がありません。

本作は、とあるホテルで久遠が火尻を助けるところから物語は動き出します。

『久遠はもしかしたら強盗団の一員なのかもしれない』との疑いをもった火尻は、そこからは一気に繋がりのあるメンバーのことも調べ上げる。

強盗団としての正体が暴かれてしまうかもしれないという状況から逃れるために行動をする4人組を、火尻が執拗に追い詰めていきます。

それは強盗団を成敗するという正義が目的ではなく、強盗団からお金を巻き上げようという思惑が。

そこに絡んでくるもうひとつの事件。

さらには、とある違法ギャンブル集団との戦いなど、様々な出来事が目まぐるしく絡み合っていきます。

そして、それらがすべてキレイに繋がっているという、圧巻の伏線回収劇

登場人物のセリフひとつも見逃し厳禁。

本当にすべてが繋がっています

久遠と火尻が出会うきっかけとなったホテルに、なぜ火尻はいたのか。

強盗団はどうやって火尻と戦うのか。

すべての点が線になる瞬間の『ああ……なるほど感は、読んだ人に読書の面白さを教えてくれます。

というわけで、『陽気なギャングは三つ数えろ』のおすすめポイント2つ目は、『圧巻の伏線回収!最後まで楽しませてくれる最高のストーリー』です

手足のある本
手足のある本

伏線回収って読んでいて本当に気持ち良いボン

ウバ
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まさにその通り

伊坂幸太郎さんは、本当に読者を気持ちよくさせる天才だと思います。

これぞ天下の伊坂節!言葉選びの妙

メモに言葉と書かれている 言い回し

『陽気なギャングは三つ数えろ』に登場する言い回しは、ユーモアに溢れていて読み心地がいいんです。

この、伊坂幸太郎さん特有の、いちいちおしゃれでユーモラスで、それでいて少し考えさせられる言い回しを、私は勝手に『伊坂節』と呼んでいます。

そんな伊坂節全開で展開される会話劇は、そこだけ切り取っても楽しめるほどに面白いんです

例えばこんなワンシーン。

成瀬と久遠が、響野のことを話しています。

「あいつは、迷惑をかける天才だからな」

「天才とか言うと調子に乗るから言わないほうがいいよ。天才の反対語って何だろ?凡才?天才の反対は、努力家?」

「迷惑をかける努力家」成瀬は口にするが、ぴんと来なかった。

そしてこのやり取りの後で、成瀬は面倒なことになっている響野に会うわけです。

向かい側にいる男はよく知った顔で、トランプを握ったまま、成瀬を見ると苦笑いを浮かべた。「いやあ、成瀬、遅かったじゃないか」

成瀬は息を吐く。「まったくおまえは努力家だな」

この一連の流れ、面白いですね。

『迷惑をかける努力家』という謎なワードを、しっかりキャラクターに当てはめてくるあたりは流石です

このように、とにかくユーモラスな言い回しが多用されていて、読んでいてまったく飽きが来ません。

他にも。

演説の達人である響野について、成瀬が久遠に説くシーン。

──「あいつの喋ることに理由や意味なんてあると思うか?」

確かに、インコの鳴き声の方が意味がある。久遠は思う。

こんなくだらないやり取りばかりで、読みながらクスッとしてしまいます。

他にも。

これは、陽気なギャングシリーズおなじみなのですが、冒頭で『なぜ強盗団は4人なのか』が描かれています。

その理由が毎回独特で面白い

物語が始まる前から伊坂節全開で、今からはじまるストーリーに期待させてくれます。

というわけで、『陽気なギャングは三つ数えろ』のおすすめポイント3つ目は、『これぞ天下の伊坂節!言葉選びの妙』です

手足のある本
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なんかずっと面白いシーンにはいつも響野がいる気がするボン

ウバ
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ま、まあ。

彼が本作のコメディ担当のようなものですからね……。

ちなみに。

『伊坂節』は他作品でも遺憾なく発揮されています。

気になる方は、他作品の紹介記事も書いていますのでよろしかったらご訪問ください。
伊坂幸太郎作品レビュー一覧

『陽気なギャングシリーズ』の楽しみかた

読書 明るい部屋に観葉植物と積み重なった本が置いてある

『陽気なギャングは三つ数えろ』は、シリーズの第3弾となります。

『陽気なギャングが地球を回す』からはじまったこのシリーズは、累計で230万部以上発行されている、大人気シリーズです。

シリーズを重ねるごとにパワーアップしていく強盗団は、読者を魅了してやみません。

それに、どの順番で読んでも楽しめるというのもポイント

前作を読んでいないとピンとこない部分もありはしますが、それでも問題なく楽しむことができます。

というのも。

『陽気なギャングは三つ数えろ』のあとがきで、著者の伊坂幸太郎さんはこう書かれています。

──ただ、この、「陽気なギャング」に関しては違います。おなじみのメンバーがいつもと変わらぬ会話を交わし、事件に巻き込まれる、その繰り返しを楽しめるものなのだと思っています。

つまり

陽気なギャング4人組の、いつもの変わらない日常を、読書を通して感じることが『陽気なギャングシリーズ』の楽しみ方のひとつです。

伊坂幸太郎さんの言葉の通り、3作品とも大まかな話の流れは同じです。

シリーズ通して描かれるのは、『強盗団が繰り広げるドタバタ劇』ただひとつ

そのシンプルさが、陽気なギャングシリーズの面白さであり魅力です。

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もちろん

ただの繰り返しというわけではなく、3作品ともそれぞれ違った面白さがあるので、読み比べてみることをおすすめします

前作の詳しい内容はこちらから
伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』感想レビュー│読書初心者にハマる最高傑作

伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』感想レビュー│前作超えの伏線回収!読書初心者におすすめな理由

さいごに

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『陽気なギャングは三つ数えろ』を読んでみたいと思っていただけたら幸いです。

前作から9年の時を経て帰ってきた4人組。

相変わらずのドタバタ具合で、読んでいて本当に面白いです。

そして、(前作を読んでいる方は特に)どこか『実家に帰ってきたような感じ』にもなります。

またいつか、彼らの活躍?が見られることを願わずにはいられません

陽気なギャングたちの日常を垣間見る一冊

伊坂幸太郎さん『陽気なギャングは三つ数えろ』

一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

最後の最後に。

『陽気なギャングは三つ数えろ』が面白いと思った方は、他の伊坂幸太郎作品も紹介していますので、よろしかったらご訪問ください。

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

プロフィール
この記事を書いた人
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佐世保の隅っこで読書をしているオッサン。
妻と二人の子どもと共に細々と生きています。
読書の面白さを広めたくてブログを開設。
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