伊坂幸太郎『ペッパーズ・ゴースト』未来が見える国語教師の物語│読書初心者におすすめ
伊坂幸太郎さんの『ペッパーズ・ゴースト』は、他人の未来を見ることができる国語教師が活躍する物語です。
読書初心者にもおすすめで、三つの視点が絡み合う一大エンターテインメント小説。
「普段あまり読書をしない人」
「面白い小説を探している人」
そんな方におすすめの一冊です!
少しでも本作の魅力が伝わるように、私なりに丁寧に紹介していきます。
それじゃあ、早速いってみよー!
基本情報
タイトル:ペッパーズ・ゴースト
著者:伊坂幸太郎
出版社:朝日新聞出版
発行年:2021年/文庫版:2024年
ジャンル:ミステリー/エンターテインメント
あらすじ
中学校教師の檀は女子生徒から、「ネコジゴ・ハンター」を名乗る二人組が活躍する、自作の小説を渡される。
その小説は、檀が言うに「面白いけれど、怖い」
そんな檀は、飛沫感染によって、その人の明日を少し見ることができる特殊な能力(先行上映)を持っていた。
ある日この能力で、男子生徒が新幹線の事故に巻き込まれる場面を見る。
特殊な能力を隠している檀は、「知り合いの占い師が言っていた」と生徒に伝え、事故を回避する。
男子生徒は感謝するがその父親は、なぜ予測できたのかを怪しむ。
この事件をきっかけに、檀は大きな事件へと巻き込まれていく──。
『ペッパーズ・ゴースト』の魅力(感想込み・ネタバレなし)
『ペッパーズ・ゴースト』の魅力を語る時、何から伝えようか悩みました。
登場人物もそれぞれ魅力的ですし、ストーリーは本当に最高!
中盤のある仕掛けから、物語の面白さがもう一段上がるところとか。ネタバレになるから詳しくは書けないことが悔しい!
とにかく魅力いっぱいな一冊です。
そんな『ペッパーズ・ゴースト』の魅力をいくつかに分けて紹介します!
『ペッパーズ・ゴースト』の魅力① 個性豊かな登場人物たち
『ペッパーズ・ゴースト』には、様々な登場人物がいて、それぞれが個性豊かで魅力的です。主要人物の数人を紹介していきます。
まず主人公の檀。
中学校の国語教師なんですが、ある特殊な能力を持っています。
それは他人の明日が少しだけ見えるというもの。彼はそれを「先行上映」とよんでいます。
まずはこのネーミングセンスが、いちいちオシャレでいいですよね。
しかも発動条件が「飛沫感染」ですからね。クセしかないです。
次にネコジゴ・ハンターのふたり。
いやいや、そもそもネコジゴ・ハンターってなに?と思いますよね。
ネコジゴ。正式名称を「猫を地獄に送る会」といい、猫を虐待したり、その動画を観て楽しむ最低な組織があります。
そんな組織の人間を懲らしめて回っているのが、ネコジゴ・ハンターのふたりというわけです。
ロシアンブルは悲観的な性格で、アメショーは楽観的な性格。そんな正反対なふたりのやり取りだけでも、読んでいて面白いんです。
このネコジゴ・ハンターは檀が通う中学校の生徒が書いた、自作の小説に出てくるキャラクターなんですよね。
小説の中の小説の登場人物。
んんーややこしい!
あとは、鳴海彪子。
あるサークルのメンバーで、カンフーが得意な女性。ジャッキーチェンが好きです。
彼女もまた一癖あるキャラクターで、めっちゃ強いです。
その他、ここでは紹介しきれないくらいに多くの登場人物がいます。
とにかく覚えていて欲しいキャラクターだけ紹介しました。
他のキャラクターは、ぜひ読んで確かめていただきたい。

「先行上映」というネーミングセンス。脱帽!
『ペッパーズ・ゴースト』の魅力② 中盤の仕掛けで面白さが急上昇
『ペッパーズ・ゴースト』は、基本的に三つの視点が切り替わりながら物語が進んで行きます。
檀の視点。
ネコジゴ・ハンターの視点。
鳴海彪子の視点。
それぞれの視点が複雑に絡み合って面白いんです。
だってですよ。
そもそもネコジゴ・ハンターのふたりに関しては、中学生が書いた小説の中のキャラクターですからね。
現実世界の話だけではなく、フィクションであるネコジゴ・ハンターの視点があることが、物語を面白くしています。
この三つの視点がテンポよく切り替わっていって、読者をどんどん惹きつけます。
惹きつけるだけ惹きつけて、中盤のとある仕掛け。
頭の中に大きな「?」が浮かびます。とにかくポカンとなります。
そこからはもう、ページを捲る手は止まらない。
もう一段階、面白さがグッと増します!
視点の切り替えのテンポの良さ、中盤の仕掛け、そこからの怒涛の展開。
とにかくずっと面白い一冊で、読み心地が良く、楽しい読書体験ができること間違いなし!
そんな中盤の仕掛けこそ、本書最大の魅力になっています。
『ペッパーズ・ゴースト』の魅力③ クセになる独特な言い回し
明日が見える能力を「先行上映」とよんでみたり、とにかく言い回しがいちいちオシャレでクセがあるんですよね。
このような独特な言い回しは伊坂幸太郎作品あるあるで、読み進めていくうちに、次を求めてしまう自分がいます。
『ペッパーズ・ゴースト』には、この言い回しが所狭しと散らばっていて、読み進めるうちにどんどん魅了されていきます。
それが一番発揮されているのが、ネコジゴ・ハンターコンビのやり取りなんです。
ロシアンブルとアメショーの会話劇だけでも、とにかく読んでいて面白い!
このコンビは、中学生が自作した小説の登場人物という設定で登場しますが、ぜひその小説を現実世界で販売していただきたいとすら思いましたね。
伊坂幸太郎さん特有な言い回しに魅了された人間が行きつく先、それを「伊坂沼」といいます。
これは私が勝手によんでいるだけですけれどね。

私は「伊坂沼」に、肩までドップリです!
さいごに
まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。
少しでも『ペッパーズ・ゴースト』の魅力が伝わったのなら幸いです。
本作は、これぞ伊坂幸太郎!と言える作品だと思います。
最初から最後までエンターテインメント性が高い一冊で、衝撃の仕掛けや丁寧な伏線回収もばっちり。
著者特有の言い回しも健在で、とにかく楽しい読書体験ができました。
猫を虐待するという胸糞悪いシーンもありますが、飄々とした語り口なので、それほど抵抗なく読めます。
ネコジゴ・ハンターには笑わされましたし、猫好きとして共感も出来ました!
他人の未来を少しだけ見ることのできる能力を持つ国語教師が、大きな事件に巻き込まれていく、一大エンターテインメント小説。
伊坂幸太郎さん『ペッパーズ・ゴースト』
一度、手に取られてはいかがでしょうか。
ちなみに。
『ペッパーズ・ゴースト』が面白いと思った方は、他にも伊坂幸太郎さんの作品記事を書いていますので、宜しかったらお訪ねください。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。



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