本を読むのが遅い人は「読書好き」と名乗ってはいけないのだろうか。
「年間〇百冊読んでいます!」とか、なんかもう怖い……。
いやいや、読書は量より質だろう!
──とはいいつつも、読書中に寝落ちとかしますけれどね、私。
まあ、他所は他所ってことにして、今回も良質な一冊を持ってきました!
伊坂幸太郎さん📘『シーソーモンスター』
嫁と姑が仲良く出来ないのは「運命」なのか⁉そんなテーマを、伊坂幸太郎らしい仕掛けで描く一冊──。
これを読めば、あなたもきっと「読書好き」の仲間入り!
それじゃあ、早速いってみよー!
基本情報
タイトル:シーソーモンスター
著者:伊坂幸太郎
出版社:中央公論新社
発行年:2019年/文庫:2022年
ジャンル:サスペンス/コメディー/エンターテインメント
あらすじ
昭和後期、日米貿易摩擦が世間を賑わせていたころ、北山家では嫁姑摩擦が勃発していた。
妻宮子と姑セツの熾烈な争いに、夫の直人はすっかり疲れ果てていた。
──時は流れ、近未来。
配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけにある事件に巻き込まれ、因縁の相手檜山に追われることに。
時空を超えて繋がるふたつの物語と、ひとつの共通点。
はたして、「運命」は変えることができるのか──。
『シーソーモンスター』の魅力(感想込み・ネタバレなし)
何といっても本作、とにかく面白い!
読むペースは遅くても、気づけばのめり込んでいたし、ストーリーの面白さは折り紙付き。
嫁姑問題がユーモラスに描かれていて、その中でたしかな夫婦愛にも触れる。
読み進めていく内に判明する事実にも驚かされたし、伏線回収が気持ち良すぎた。
宮子さんを好きにならない人はいない説!
笑いあり涙あり。
いや、涙はなかったですけれど、そんな本作の魅力を、ふたつに分けて紹介していきましょう!
※ちなみに本作は、一冊の中に『シーソーモンスター』と『スピンモンスター』、ふたつの物語が収録されています。
『シーソーモンスター』が昭和後期が舞台で、『スピンモンスター』は、その数十年後の近未来が舞台。
舞台背景はまったく違うけれど、ストーリーはしっかり繋がっていて、ふたつでひとつの物語になっています。

おすすめは『シーソーモンスター』で、読書に慣れていないのならこっちだけ読むのもアリ!
読書の楽しみ方はひとそれぞれですからね。
クセになる会話劇
本作から会話だけ抜き出して読んでも面白いんじゃない?
と思えるほど、キャラクターたちの会話が面白いんです。
物語がどれほどシリアスなシーンだろうと、言い回しがいちいちユーモラス。
爆笑はないけれど、ついクスッとしてしまう。
そのくせ、ちゃっかり考えさせられたりするんですよね。
時代は変わる、とはいえ、争いはなくならない。争いをなくせ、と主張する者たちが最終的に、「争いをなくさなければ、争うぞ」となるのが常だ。
私の好きなセリフです。なるほど、たしかにその通りっ!って唸りましたね。
ユーモラスでありながら、的を射ているところが本作の魅力。
まったく、読者に読む手を止めさせる気ないんでしょうね。
ストーリーが面白い
独特な言い回しで、ユーモラスに繰り広げられる会話劇が魅力的な本作。
ストーリーの面白さも語らずにはいられない。
面白いストーリーという土台あっての会話劇ですからね。
まずは前半の『シーソーモンスター』では、とにかく嫁姑の仲が悪い!
一昔前のドラマなどでよく見たような、いかにもな嫁姑問題の決定版みたいなふたりです。
これ以上ないほどに仲が悪い。
これは裏表紙にも書いてあるし、ネタバレにはならないはずだから書いてしまうと、妻の宮子さんは元情報員。ココかなり重要。
身内には隠しているけれど、とにかくめっちゃ強い。陰で悪から国を守っていたりする。旦那のピンチに駆けつけたりするの。
それがとにかくカッコイイ。私は俄然、宮子さん推しなんだけれど、読めばきっと宮子さん推しになる人が多いはず。
そんな宮子さんに対するは、姑セツ。
とにかく宮子さんを意地悪に追い込む。これは好きになれない。正直ちょっと苦手。
絵に描いたような嫁いびり。
徹底しています。その徹底した姿は、ある意味ではすばらしい。
物語を通して、とにかくふたりの確執が描かれています。というか、ほぼそれだけの物語。
だからこそのラスト!
気持ちの良すぎる終わり方。すべてが繋がって、伏線もきれいに回収される。
見事の一言。
読者の心まで伏線に使うとは……憎いぜ伊坂さん!
(※心を伏線に使われたと思っているのは、この記事を書いている人だけです)
一方で、後半の『スピンモンスター』の方では、主人公の水戸と捜査員の檜山が犬猿の仲。
犬猿の仲というか、同じ空間にいるだけで駄目なレベル。
姿が見えなくても、近くにいるだけで存在を認識してしまうほどバッチバチです。
物語の舞台は、何もかもがデジタル化された近未来。ペーパーレス化を推進していった世界は、その便利さゆえの危うさに気づき、アナログに回帰している。
重要な情報ほどアナログへ、内緒のやり取りは電子メールではなく手書きの手紙へ。
──という設定が、どうも現実を帯びているというか、そのうち世界もそうなるのでは?と思わせるんですよね。
がっつりフィクションなのに、どうもフィクション過ぎていない。
その絶妙な舞台設定がハラハラするの。
そんな世界で、主人公・水戸の職業は、今でいう郵便屋さん。たった一枚の手紙をきっかけに、大きな事件に巻き込まれていく。
しかも物語が進むにつれて、どんどん事件の中心人物になっていって、捜査員に追われる立場になっていく。
それもまた、現実世界でありそうで、とても怖い。
物語を通して、とにかくずっと「ありそう感」が纏わりついてくる。
この気持ち悪さが、逆にクセになって読み進めてしまう。
物語が進むにつれて明らかになっていく事実と、数々の小さな伏線回収。
読んでいて心地がよかった!ってなるんですよね。
終わり方もいちいちオシャレで、グッとくる。
それでいて、途中から見事に『シーソーモンスター』と繋がっていくところも素晴らしいの一言。
『スピンモンスター』を読んではじめて、『シーソーモンスター』が完結すると言ってもいいのかもしれない。
さいごに
私なりに『シーソーモンスター』の魅力を伝えてきたが、どうでしょうか。
少しでも伝わっていたら嬉しいし、ぜひ読んでみて欲しい。
絶対に「読書好き」になるから。
ちなみに。本書を「普段あまり読書をしない人」におすすめする理由も書いていきたい。
それは、「読書が楽しい!」となった次に来るのが、「今度は何を読めばいい?」だからです。
本作には、次の読書に繋がる仕掛けがあるんですねーこれが。
まずは「そのまま伊坂幸太郎ファンになる」というのがひとつ。私みたいに伊坂沼にズッポシになるほどに、本作は面白い作品だと自信がある。
※伊坂沼にズッポシな私は、伊坂幸太郎様の他作品も紹介記事を書いているので、良かったら読んでみて欲しい。
次に読みたい本が見つかるかもしれませんよ?
もうひとつの理由が、本作が「螺旋プロジェクト」という企画の中の一冊ということだ。
「螺旋プロジェクト」とは──
中央公論新社の文芸誌「小説BOC」で連載された、伊坂幸太郎氏が呼びかけた八組の作家による共同執筆企画。
舞台は原始時代から未来まで様々。共通するルール(海族と山族の対立を描く、一部のキャラクターや共通シーンを共有するなど)が存在する。
これが本書をお勧めする最大の理由だったりする。
単純に、『シーソーモンスター』が面白いと思ったら、他の著者の作品を読んでみたらいいのだ。
読みながら共通ルールを探すのもよし、本作で会ったキャラクターとの再会を楽しむのもよし。
こうやって、作者の壁を飛び越えて作品が繋がることは珍しい。
こりゃあ、次の本探しに活用しない手はない!
ちなみに私は『シーソーモンスター』以外読んでいません!そのくせ偉そうにすみません!
言い訳ですが、自宅の本棚には「螺旋プロジェクト」から一冊だけ積読しています……ぜったい読みます!
というか、逆に他作品を読んで、ぜひ感想をいただきたい!
どんな物語だったかを教えていただきたい!
お待ちしていますっ!
……ふぅ。
少し熱くなってしまった。
ほんの少しでも、『シーソーモンスター』読んでみたいな、と思ってくれたら幸いです。
この記事が、あなたの読書ライフに繋がれば嬉しいし、一緒に読書を楽しめたらいいですね。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。




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