読書をはじめたい!
しかし何を選べばいいかわからない。だから結局、諦めてしまう。
そんな経験、ありませんか?
私自身、それで読書から遠ざかった経験があります。本の種類が多すぎて、調べるのも面倒になってしまうんですよね。
しかし、一度「名作」に出会ってしまえば、そこから先は沼です。
『読書沼』
その『読書沼』に、確実にあなたを引き込んでしまう本を、私は知っています。
今回は、その一冊を紹介したいと思います。
基本情報
タイトル:『アヒルと鴨のコインロッカー』
著 者:伊坂幸太郎
出 版 社:創元推理文庫(東京創元社)
発 行 年:2006年(文庫版)
ジャンル:ミステリー・青春
あらすじ
大学入学のために仙台に引っ越してきた椎名。引っ越し先のアパートで出会った河崎に「一緒に本屋を襲わないか?」と持ちかけられる。
初対面なのに、だ。
標的は一冊の広辞苑。同じアパートに住むブータン人へのプレゼントらしい。
そんな話に乗る気などなかったはずの椎名は決行の夜、モデルガン片手に書店の裏口に立っていた!
この出来事と同時に語られる、二年前の不思議な出来事。
二つの話が重なりあう時、物語は驚きの結末へと導かれる……
この物語の、ここが面白い!
伏線回収の気持ちよさ
この作品の魅力は、なんといっても伏線回収の気持ちよさにあります。
なぜ!わざわざ広辞苑を盗むのか。
なぜ!椎名は裏口を見張ったのか。
二年前の出来事は、なぜ語られるのか。
現在と過去を行き来しながら進んでいく物語。頭の中に浮かんだ多くの『?』を、最後はしっかり回収してくれます。
それがもう、最高に気持ちいいのです。
登場人物の魅力
この作品に限らず、伊坂幸太郎さんの作品には必ず好きになってしまうキャラクターが登場します。
『アヒルと鴨のコインロッカー』において、私の推しは『河崎』です。
もちろん、その他の登場人物の誰もが魅力的です。
しかし、私の中では河崎に軍配が上がりました。
比べるものではないんですけどね。
河崎の語る言葉のひとつひとつや、周囲を驚かせる行動。
なにせ、初対面の椎名を書店襲撃に誘うような男です。まともじゃないですよね。
しかも理由が「広辞苑を盗みたい」ですからね……理解できない。
しかし、すべての行動に意味があるとわかったとき、『河崎』に引き込まれている自分に気づきます。
その時にはもう、虜にならざるを得ないですよ。
衝撃のラスト
これは伏線回収のはなしと被るところがあるのですが、話のすべてが見えたとき、確実に読者は驚きます。
タイトル回収の滑らかさも秀逸で、意味不明なタイトルにも納得。
さらに。
この物語の結末は、驚きだけではなく「切なさ」も合わせ持っているのです。
「えっ!そういうことだったの⁉」となる一方で、「そうだったのか……」と胸を締め付けられます。
それでいて、読後に残るのは心地のいい余韻。
ただシンプルに「読んでよかった」と思える作品です。
さいごに
私自身、この小説を読んでから『読書沼』にハマってしまったひとりです。
以降、本棚には伊坂幸太郎さんの作品がどんどん増えて行きました。知らぬうちに『伊坂幸太郎沼』にもズッポシ……。
この記事を書くにあたり、改めて読み返してみましたが、結末を知っていても面白かったです。
そして、結末を知っているくせに切なくなってしまいました。
この作品は、現在と過去を行き来しながら物語が進行します。
そう聞くと読みにくそうに感じますが、読者を置き去りにすることなく、とても丁寧に物語が進むため、とても読みやすい作品です。
「読書をはじめたいけど、何を読んだらいいのかわからない」
そんな方におすすめの小説。
『アヒルと鴨のコインロッカー』
この一冊が、あなたを『読書沼』へと導いてくれるはずです。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。
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