ウバといいます。
皆さんの日々に「活字」は足りていますか?
「読書」のある日々を、過ごしていますか?
足りていない!という人は、ぜひ立ち寄ってください。
この先、面白い一冊が待っています。
『ウバログ』では、普段あまり読書をしない人に、読書の面白さを伝えたくて本を紹介する記事を書いています。
私の紹介した本が、皆様の読書ライフに繋がればいいなと願い、拙いながらも丁寧に紹介していきます。
今回紹介する一冊は、こちら!
伊坂幸太郎さん『重力ピエロ』
ヘビーなストーリーと、それを重く感じさせない軽やかな読み心地。
一行目から読者の心を鷲掴みにする一冊。
それでは早速、紹介していきます。
あらすじ
優しい父と美しい母を両親に持つ兄弟、泉水と春。
彼ら家族には、辛く悲しい過去があった。
大人になり、泉水は遺伝子情報を扱う企業に勤め、春は街の落書き消しを生業にしていた。
ある日、彼らの住む仙台の街で連続放火事件が発生。その事件現場には謎のグラフィティーアートが描かれていた。
事件の謎を追う兄弟と父。
謎解きの末、彼らが直面する事件の真実とは……。
『重力ピエロ』の魅力
本作を読み終えた時、とても清々しい気持ちになりました。
主役である兄弟のお互いに対する思いやり、それを見守る父親の温かさに、感動せずにはいられませんでした。
「家族とはなにか」
それを知ることができる一冊でした。
そんな本作の魅力を、いくつかに分けて紹介していきます。
圧倒的存在感のある『一行目』
『重力ピエロ』を『重力ピエロ』たらしめる、始まりの一行目。
これに触れずして、本作を語るのは難しい。
「重力ピエロ 書き出し」
で検索すると、すぐさまヒットするほど、超有名な一行目。
春が二階から落ちてきた。
この一行を読んで、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。
ああ……この作者は、このような気取った言い回しを多用する作者なのだな。
と、ガッカリするでしょうか?
それならしっかり裏切られます。
落ちてきたのは人間ですから。
この一行で私は心を掴まれて、気づけばどんどん読み進めてしまっていました。
もちろん。
一行目の魅力が霞むほど魅力たっぷりな物語が、ページをめくるたびに待っています。
読者の心を一気に物語に引き込む一行目。
これこそが本作の魅力のひとつです。

今、実際に「重力ピエロ 書き出し」で検索したら、AIが答えてくれました。AI怖えぇ……。
重いのに軽く感じる言い回し
本作は、なかなかどうして、結構重めのストーリーになっています。
落書き、放火、殺人にレ◯プ。
重い!重すぎる!
なのにしっかり読みやすい。
読み心地はとても軽やかで、重めのストーリーでありながら、クスッとする場面もあります。
なぜなのか?
それこそ伊坂幸太郎作品の魅力です。
独特な言い回し。
これがまあ、なんとも読んでいて気持ちがいい。
私は、これを勝手に「伊坂節」とよんでいます。
本作も伊坂節全開で、読み心地が軽やか。
口溶けの良いチョコレートのように、ビターなのに後味はほのかに甘い。
……。
アホみたいな例えは置いておいて、とても読みやすい作品です。
この読み心地の良い「伊坂節」そこ、本作の魅力のひとつです。

一度読んだら必ずクセになります!
美しすぎる家族愛
事件の謎解き以上に、兄弟と父、そして母との記憶が織りなす家族の物語こそが作品の核心となっています。
前述したとおり、とても重いストーリーとなっている本作ですが、そこに描かれているのは「家族愛」です。
弟想いの兄と、どこか掴みどころのない弟。そして彼らを見守る両親。
とくに印象的なのが、春の描いた絵が県のコンクールで大賞を取ったときのエピソード。
この家族の魅力がぎゅっと詰まった場面です。
「家族とはなにか」
読み終えたあと、私の胸の奥にふわっと残ったのは、温かい家族の記憶でした。
さいごに
この記事を書くにあたり、改めて読み返しました。
本当に何度読んでもすばらしい作品でした。
泉水や父親の優しさに、涙腺を刺激されました!
長編小説のため、読み終えるのにはそれなりの時間と労力を伴います。
しかし読みやすい。
読みごたえはあるのに、軽く読めてしまう作品です。
重めのストーリーをユーモラスに描き、読者を魅了してやまない。
「家族とはなにか」を知ることができる魔法のような一冊
伊坂幸太郎さん『重力ピエロ』
一度、手に取られてはいかがでしょうか。
基本情報
タイトル:重力ピエロ
著者:伊坂幸太郎
出版社:新潮社(新潮文庫)
発行年:2003年(文庫版2006年)
ジャンル:ヒューマンドラマ/ミステリー
ちなみに。
本作以外にも、伊坂幸太郎さんの作品を紹介する記事を書いています。
よろしければお訪ねいただければ幸いです。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。




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