伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』レビュー│伊坂ワールド全開な短編集!

本紹介

伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』伊坂ワールド全開な短編集│読書初心者におすすめ

伊坂幸太郎さんの『フィッシュストーリー』は、伊坂ワールド全開な短編集です。

読み応えのある四つの物語が収録されていて、個性豊かな登場人物、独特な会話劇、感動的なストーリーが魅力です。読書初心者の方にもおすすめ

「普段あまり読書をしない人」

「お気に入りの作家を探している人」

そんな方におすすめの一冊となっています。

少しでも本書の魅力が伝わるように、私なりに丁寧に紹介していきます。

それじゃあ、早速いってみよー

この記事は、とくにこんな人におすすめ
  • 普段あまり読書をしない人
  • お気に入りの作家を探している人
  • 読みやすい短編集を探している人
この記事でわかること
  • 『フィッシュストーリー』のあらすじ
  • 『フィッシュストーリー』の3つの魅力(登場人物・会話劇・ストーリー)
  • 『フィッシュストーリー』をおすすめする理由

基本情報

タイトル:フィッシュストーリー

著者:伊坂幸太郎

出版社:新潮社/新潮文庫

発行年:2007年/2009年

ジャンル:ミステリー/ヒューマンドラマ/短編集

あらすじ

最後のレコーディングに挑む、売れないロックバンド。

彼らの最後の曲「fish story」は、未来に届き、やがて世界を救う。

「届けよ、誰かに、頼むから」

彼らの叫びは時代を超え、奇跡の物語を紡いていく──。

表題作「フィッシュストーリー」をはじめ、伊坂ワールド全開で描かれる四つの物語を収録した、濃厚すぎる短編集がここに──。

『フィッシュストーリー』の魅力(感想込み・ネタバレなし)

『フィッシュストーリー』は、四つの物語(動物園のエンジンサクリファイスフィッシュストーリーポテチ)が収録されている短編集になっています。

そのどれもが濃厚なストーリーになっていて、読み応え十分

ひとつひとつの物語は短いため、普段あまり読書をしない人でも読みやすくなっています。

そんな『フィッシュストーリー』の魅力を、いくつかに分けて紹介していきます

ウバ
ウバ

四つの物語のうち、表題作の『フィッシュストーリー』と、私イチオシの『ポテチ』について、重点的に紹介していきます

『フィッシュストーリー』の魅力① 個性豊かな登場人物

『フィッシュストーリー』には多くのキャラクターが登場します。

その中でも、『サクリファイス』と『ポテチ』に登場する黒澤は、伊坂幸太郎さんの他作品にも登場するキャラクターで、伊坂ファンに人気のキャラクターです。

泥棒だったり探偵だったりする、クールでとても魅力的なキャラクターです

そんな黒澤は、『ホワイトラビット』『重力ピエロ』に登場します

どちらも面白い作品ですし、黒澤の魅力全開ですので、よろしかったら読んでみてください

多くのキャラクターが登場する本作ですが、私が一番推しているのが、『ポテチ』に登場する今村です。

彼に会うためだけに、本書を手に取ってもいいと思うほどに、とても魅力的に描かれています

空き巣を生業にしている今村は、誰よりも優しくて明るい性格をしています。

ビルから飛び降りようとしている女性に、「キリンに乗ってそっちに行くよ」とか言っちゃう人です。

意味わからないですよね。

でも、そんな場面でそんなことを言えるって素敵ですよね。

空き巣していて優しいはない気もしますが……とにかく優しくて、どこか子供っぽくて、読めば絶対好きになるキャラクターです。

そんな今村の恋人・大西も素敵なキャラクターで、ふたりの掛け合いは一読の価値ありです

今回は『ポテチ』の登場人物のみの紹介になってしまいましたが、他の物語の登場人物たちも全員クセがあって素敵です。

そんな魅力的なキャラクターたちが、『フィッシュストーリー』の魅力のひとつになっています

ウバ
ウバ

今村のお母さんもいい

この親あっての今村なんだなと思います。

『フィッシュストーリー』の魅力② 独特な言い回しによる会話劇

著者の伊坂幸太郎さんは、とにかく言葉選びが素晴しいんです。

独特で、いちいちオシャレな言い回しを連発して読者を魅了してきます。

それは『フィッシュストーリー』でも例外なく発揮されています。

今村を紹介する時に少し触れましたが、飛び降りようとしている女性にたいして、「キリンに乗って、そっちに行くよ」とか言っちゃうんです。

もう、相手は「はあ?」ですよ。

そこに、さらに追い打ち。

「見たいだろ。俺なら見たいよ。仙台の街のそのビルの屋上に、キリンだよ。俺なら見てから死ぬね」

いやあ、独特ですよね。このような言い回しがどんどん出てきます。

キャラクター同士の会話劇だけを抜き取って読んでも楽しめるくらいに素敵です

魅力的なキャラクター同士の、魅力的な言い回しによる会話劇。

それこそ『フィッシュストーリー』の魅力のひとつです

ウバ
ウバ

独特な言い回しがクセになって、どんどん読書に没入してしまいます。

私はそれを、勝手に『伊坂沼』とよんでいます。

『フィッシュストーリー』の魅力③ 感動的なストーリー

ここまで読んでくださっている皆様は気づいている事でしょうが、さっきから『ポテチ』の紹介しかしていません。

本作は、四つの物語が収録された短編集なのですが、その中でも『ポテチ』のストーリーが素晴しすぎるのです

読み終わった時、私は泣いていました。

ほんの小さな伏線が散らばっていて、それを丁寧に回収していく様は、読んでいて心地いいんです。

ラストに泣いた人は、きっと私だけじゃないはずです

収録されている四つの物語に共通するのが、「短編なのに、その中でしっかり伏線回収まで楽しめる」というところです。

ひとつひとつの物語は、文庫本で百ページもありません。『動物園のエンジン』に至っては五十ページほどです。

その短いあいだに、しっかり伏線を張り、しっかり回収する。さらには感動までさせてくる。

これはもう、すごいの一言です。

そんな濃厚なストーリーが四つも楽しめるのですから、本当に贅沢な一冊です。

表題作である『フィッシュストーリー』は、伏線回収劇の神髄ともいえる物語で、短編なのに満足感は長編小説と肩を並べます

これだけの伏線回収劇と感動、さらにはユーモアさえも短編に収める。

流石です

そんな濃厚すぎるほどの四つの物語を味わえるということこそ、『フィッシュストーリー』最大の魅力なのです。

ウバ
ウバ

短編なので、普段あまり読書をしない人にも読みやすい一冊だと思います。

しかし短編だと侮ることなかれ

読書の面白さに気づかされる一冊になっています。

さいごに

まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しでも『フィッシュストーリー』の魅力が伝わったのなら幸いです。

本書は、四つの物語が収録されていますが、「とりあえずひとつだけでも読んでみるかな」とかでもありだと思います。

必ず読書が楽しいと思えるはずですし、伊坂幸太郎さんの他の作品を読みたくなります。

黒澤みたいな魅力的なキャラクターに、他の作品で再会するなんてこともザラです。

短編集だからこそ、楽しくなかったら飛ばして、別の物語を楽しむなんてことも出来ます。

魅力的なキャラクターが多数登場し、独特な言い回しで、濃厚な物語が楽しめる一冊

伊坂幸太郎さん『フィッシュストーリー』

一度、手に取られてはいかがでしょうか。

ちなみに。

『フィッシュストーリー』が面白いと思った方は、他にも伊坂幸太郎さん作品の紹介記事を書いていますので、ぜひお訪ねください。

今日はここまで。

それでは、佐世保の隅っこからウバでした。

皆様の今日が幸せな一日でありますように。

プロフィール
この記事を書いた人
ウバさん

佐世保の隅っこで読書をしているオッサン。
一男一女の父でもあります。
ここでは本を紹介する記事と、日々を綴った日記を書いています。
ブログ運営については無知のまま突き進んでいますので、至らない所があればご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

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