ウバといいます。
突然ですが皆さん、「読書」足りていますか?
人間には、読書からでしか摂取できない栄養素があるとか、ないとか。
あるかもしれないので、ぜひ摂取していきましょう!
『ウバログ』では、普段あまり読書をしない人に、私が読んで面白かった本を紹介する記事を書いています。
この記事が、訪ねてくださった方の読書ライフに繋がればと願い、拙いながらも丁寧に紹介していきます。
今回紹介していくのは、こちら!
伊坂幸太郎さん『オーデュボンの祈り』
喋る案山子が登場する摩訶不思議な物語は、あなたをきっと読書の虜にする。
それではさっそく紹介していきます。
この記事では、あらすじから伏線の魅力、言葉選びの妙まで、順に紹介していきます。
あらすじ
コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気がつくと見知らぬ島にいた。
江戸以来、外界から遮断された島『荻島』
この島には妙な人間ばかりが住んでいた。
見た目が熊そっくりな男。嘘しか言わない画家。拳銃を所持した、島で唯一殺人を許された男。
そして、未来予知ができる喋る案山子。
次の日、案山子が何者かに殺される。無残にバラバラにされ、頭部を持ち去られて。
犯人は誰なのか。案山子はなぜ殺されたのか。
奇妙な島で巻き起こる不思議な事件。
事件の謎を追いながら、伊藤はこの島の掟と人間の本性に触れていく。
最後にたどり着く、切なくも不思議な「祈り」とは──。
『オーデュボンの祈り』の魅力
本作を読み終わった時、私は少し混乱していました。
「この物語は何なのだ?私はいったい何を読まされたのだ?」と、不思議な気持ちになったのです。
いやいや、そんな小説なんか紹介するなよ……。
と、いう気持ちもわかります。
しかしクセになる。
不思議な世界の物語が、独特の言い回しで描かれていて、読み終わってからも頭から離れません。
気づけば著者の他の作品を求めてしまっていることでしょう。
どうせフィクションを読むのなら、とことんぶっ飛んでいる方が楽しめるに決まっています。
そんな不思議な物語の魅力を、いくつかに分けて紹介していきます。
不思議な世界観
胸の谷間にライターをはさんだバニーガールを追いかけているうちに、見知らぬ国へたどり着く、そんな夢を見ていた。
こんな書き出しで始まる本作。
そのままのストーリーだから驚きです。
コンビニ強盗に失敗して警察から逃げていた主人公の伊藤が、舞台である『荻島』にたどり着くところから本作は始まります。
どうやってたどり着いたのかもわからない、この荻島が、不思議すぎる世界で面白い。
江戸時代から外界との交流を断ってきた、いわば「鎖国状態」の島なのです。
これにはペリーも腰を抜かしていることでしょう。「マダ、サコクデスカー」です。
独自のルールが存在していて、島に流れる雰囲気は、まるで『不思議の国のアリス』のような世界です。
不思議の国のアリスで追いかけるのは、時計を持ったウサギですけれどね。私はライターをはさんだバニーガールの方が好きですけれど。
しかもです。
その後は怒涛の勢いでクセの強すぎるキャラクターたちのオンパレードですからね。
気を抜いていると置いていかれるので、注意が必要です。
主人公に並んで、読者の頭の整理がつかない内に、物語が動き出します。
「そんな小説、あまり読書をしない人にすすめるなよ」
とか言われそうですが、大丈夫です。
この、あまりにも独特な世界観がクセになって、必ず読書が好きになれる作品になっています。
登場人物
不思議な物語には、不思議なキャラクターが似合う。
上で触れたように、本作にはクセが強すぎるキャラクターが多数登場します。
多数といいますか、クセのないキャラクターがひとりもいません。
主人公の伊藤は、コンビニ強盗に失敗して、逃亡犯になります。
強盗を企てたのは本当にしょうもない理由からで、しかも失敗するという、少し頼りないキャラクターです。
この伊藤が島の住人と触れ合ううちに、どう変わっていくのか。
強盗犯とはいえ、本作の中では相当にまともなキャラクターとして描かれています。
喋る案山子も登場します。
登場人物の紹介ですが、ついでに案山子も紹介します。
畑に立っている人型のアレです。
案山子のくせに本作の最重要キャラクターの優午(ゆうご)。
喋れるというだけで異常なのですが、優午は未来まで見えてしまいます。
案山子で喋れて未来が見えて。
……私は何を書いているのでしょうか。
紹介した二人以外にも、クセしかないキャラクターが多数登場します。
書き出したらキリがないので、ここまで。

案山子が喋ったり未来が見える時点で、まともな作品ではないっ!
──不思議な世界に迷い込みたくなってきましたか?
さいごに
この記事を書くにあたり、改めて読み返してきました。
相変わらずの摩訶不思議っぷりで、何度読んでもすばらしい作品だと思いました。
ちなみに。
本作『オーデュボンの祈り』は、伊坂幸太郎さんのデビュー作です。
私自身、読み終わったあと「この人の頭の中を覗いてみたい」と思ったほど、不思議で優しい物語でした。
一度読めば、確実に読書を好きになる自信があります。
ぶっ飛んだ世界観で描かれる、優しくも温かい物語。
伊坂幸太郎さん『オーデュボンの祈り』
一度、手に取られてはいかがでしょうか。
基本情報
タイトル:オーデュボンの祈り
著者:伊坂幸太郎
出版社:新潮文庫
ジャンル:ミステリー・ファンタジー
本作以外にも、伊坂幸太郎さんの作品を紹介する記事を書いています。よろしければのぞいてみてください。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。




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