読書を始めたい。
読みたい本がみつからない。
そんな悩みを解決してくれる一冊。
伊坂幸太郎さんデビュー作!
『オーデュボンの祈り』
不思議で切なく、癖になる物語。
読書沼にはもちろん、伊坂幸太郎沼にもハマること間違いなしの一冊です。
基本情報
タイトル:オーデュボンの祈り
著者:伊坂幸太郎
出版社:新潮文庫
ジャンル:ミステリー・ファンタジー
あらすじ
コンビニ強盗に失敗した伊藤は、気がつくと見知らぬ島にいた。
江戸以来、外界から遮断された島『荻島』
この島には妙な人間ばかりが住んでいた。
見た目が熊そっくりな男。嘘しか言わない画家。拳銃を所持した、島で唯一殺人を許された男。
そして、未来予知ができる喋る案山子。
次の日、案山子が何者かに殺される。無残にバラバラにされ、頭部を持ち去られて。
犯人は誰なのか。案山子はなぜ殺されたのか。
奇妙な島で巻き起こる不思議な事件。
事件の謎を追いながら、伊藤はこの島の掟と人間の本性に触れていく。
最後にたどり着く、切なくも不思議な「祈り」とは──。
この作品の、ここが面白い!
登場人物
この作品は、個性豊かなキャラクターが多数登場します。
・伊藤
コンビニ強盗に失敗し、気づけば荻島に迷い込んだ元システムエンジニアの青年。
どこか頼りなくて、しかし憎めない。この物語の主人公。
・優午(案山子)
荻島に住む案山子。未来が見えるし喋れる。島の人々からは頼られる存在だが、ある日突然殺され、頭部を持ち去られる。
・日比野
顔がふてくされてた犬に似ている、開店休業前のペンキ屋。轟に頼まれて、伊藤に島を案内する。
・轟
唯一島と外界を行き来する、熊のような風貌の男。
・園山
嘘しかつかない画家。妻が殺されて以来、絵を描くことを辞めている。
・桜
拳銃を所持し、島で唯一殺人を許された男。島の法律。
これ以外にも、300㎏くらいの女性ウサギや、地面の心臓の音を聞いている若葉。
伊藤を追っている警察官の城山など、個性という言葉では表せないほど濃いキャラクターが登場します。
登場人物の魅力が、そのまま本書の魅力となっていることは間違いありません。

登場人物のすべてが超個性的。私の推しは、桜です!
独特な世界観
本作の舞台は荻島。
江戸時代から、外界との交流を断ってきた、いわば「鎖国状態」なのです。
これにはペリーも腰を抜かしていることでしょう。
そんな不思議な島に漂っているのは、温かくておだやかな空気。
時間の流れもゆったりしていて、「いっそここに住むのも悪くない」と思わせる幻想的な世界観が広がっています。
非現実でありながら、どこか心地よい。
この荻島が、物語を一層魅力的にしてくれるのです。

正直私は、未だにこの島に住みたいと思っています……。
摩訶不思議なストーリー
荻島には、こんな言い伝えがあります。
「ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ」
「島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく」
この「欠けているもの」とは一体何なのか。
そしてそれを「置いていく外からの奴」とは誰なのか。
この言い伝えは、優午の死と関係あるのか──。
謎、伏線、そして個性豊かな島民との出会い。
ページをめくるほどに引き込まれる摩訶不思議なストーリーは、一読の価値ありです!

とても心地のいい読後感を味わえます!
さいごに
本作『オーデュボンの祈り』は、伊坂幸太郎さんのデビュー作です。
私自身、読み終わったあと「この人の頭の中を覗いてみたい」と思ったほど、不思議で優しい物語でした。
・これから読書を始めたい方
・読みたい本が見つからない方
読めば間違いなく「読書沼」にも「伊坂幸太郎沼」にもズッポシの、心温まる珠玉の一冊。
伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』
あなたの明日の一冊に、ぜひ。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。
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