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伊坂幸太郎さんの『グラスホッパー』は、妻の復讐のために裏社会に飛び込んだ元教師の活躍を描いた物語。
個性的な殺し屋が多数登場する、本格派クライムサスペンスです!
そんな『グラスホッパー』のおすすめポイントを、実際に読んだ感想と共に紹介していきます。
それじゃあ、早速いってみよー!
| 衝撃度 | |
| 面白さ | |
| 登場人物 | |
| 読書初心者おすすめ度 |
『グラスホッパー』の基本情報
| タイトル | グラスホッパー |
| 著者 | 伊坂幸太郎 |
| 出版社 | KADOKAWA(旧:角川書店) |
| 発行年 | 2004年 |
| ジャンル | クライムサスペンス |
※2015年に映画化
2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。
以降、様々な文学賞を受賞する、超売れっ子作家。
代表作に『重力ピエロ』 『砂漠』 『ゴールデンスランバー』
などがある。
『グラスホッパー』のあらすじ
殺された妻の復讐を誓う元教師の鈴木は、その復讐相手が車に轢かれる瞬間を目撃する。
これは、事故に見せかけて殺しを実行する殺し屋・押し屋の仕業だった。
復讐の機会を奪われた鈴木は、正体を探るために押し屋を追う。
同じ頃、自殺専門の殺し屋・鯨や、ナイフ使いの殺し屋・蝉も押し屋を追い始める。
それぞれの思惑が交差しながら加速していく物語の中で、鈴木がたどり着く結末とは──。
『グラスホッパー』のおすすめポイント3選(感想込み・ネタバレなし)
『グラスホッパー』は、元教師の鈴木が妻の復讐のために裏社会に身を投じるところから物語が始まります。
しかし、スタート直後に復讐相手が殺されるという衝撃の展開。
さらには超個性的な殺し屋ばかりが登場して、気づけば物語に没頭してしまっています!
そんな『グラスホッパー』のおすすめポイントを、実際に読んだ感想を元にネタバレなしで3つに絞って紹介していきます!
個性のバーゲンセール!魅力あふれる登場人物たち

『グラスホッパー』には、とにかく個性的な登場人物が揃っています。
物語の舞台が裏社会というだけあって、物騒な殺し屋も多数出てきます。
そんなクセが強い登場人物たちを紹介していきます!
【復讐を誓う元教師】鈴木
本作の主人公は、元教師の鈴木。
妻をひき逃げで殺されて、その犯人に復讐するために裏社会に飛び込みます。
ところが、物語が始まってすぐに犯人は鈴木の目の前で交通事故で死ぬという驚きの展開。
それは『押し屋』という殺し屋の犯行で、鈴木がその押し屋を追いかけるところから物語が始まります。
裏社会が舞台なだけあって、まともな人間が少ない本作。
鈴木はその中で唯一のまともなキャラクターなので、どのキャラクターよりも感情移入できます。
というか、鈴木以外に感情移入できるキャラクターがいません!
回想の中での鈴木夫婦のやり取りが穏やかで、物騒な物語に癒しをもたらしてくれます。
そんな鈴木の、裏社会での奮闘ぶりは必見!
※鈴木は、同著者の『マリアビートル』にも登場しています。
詳しくはコチラ→伊坂幸太郎『マリアビートル』レビュー│疾走感Maxな密室クライムサスペンス
【自殺専門の殺し屋】鯨
相手を自殺に追い込むという、よく意味が分からない殺害方法の殺し屋・鯨。
鯨から目を見つめられると、その相手は自殺してしまうという、少し超能力のような力を使います。
ドストエフスキーの罪と罰を愛読していて、肌身離さず文庫本を持ち歩いている、身長190㎝・体重90㎏もある大柄な男。
今まで殺した相手の幻覚が見えていて、つねに鬱々としています。
とある理由で、鈴木と時を同じくして『押し屋』を追うことになります。
【ナイフ使いの殺し屋】蝉
ナイフを使って殺しを行う、軽い感じの男・蝉。
殺しを仕事としか思っておらず、そこに善悪の区別はありません。
ただ頼まれたから殺すという、殺し屋然としているキャラクター。
岩西という殺しの仲介人の下で働いており、岩西と蝉の掛け合いは軽妙で読んでいて面白いです。
殺し屋なのでやっていることは残酷なのですが、読んでいてどこか好きになってしまうキャラクターです。
そんな蝉も、鈴木と鯨と同じタイミングで『押し屋』を追うことになります。
【疑惑のシステムエンジニア】槿(あさがお)
鈴木の復讐相手の事故現場に居合わせた、システムエンジニアの槿。
鈴木から『押し屋』と疑われて追われることになります。
妻のすみれ、健太郎・考次郎という息子たちと暮らしており、考次郎は昆虫のシールを貼ったアルバムをもっています。
鈴木は、槿家内に家庭教師だと嘘をついて入り込みますが、槿はそれを疑っています。
鈴木と槿ファミリーとのやり取りは温かく、とくに子どもたちとのやり取りは読んでいてほっこりします。
その他の登場人物
『グラスホッパー』には、彼ら以外にも個性的なキャラクターが多数登場。
鈴木が入社した『フロントライン』という、何でもアリの会社の社長・寺原。
彼は裏社会では名の知れた人物で、とにかく怖い人間です。
そして、鈴木の妻をひき殺したのが息子の寺原長男。
彼はそのまま寺原長男として描かれていて名前もありません。
『フロントライン』で鈴木に仕事を教える立場にいるのが、比与子とよばれる女性。
鈴木が会社から疑われていることを伝え、本当に信用できる人間かを試します。
桃という、ポルノ雑誌店のオーナーをしながら裏社会に精通する情報屋も登場。
本作では蝉に情報を流す場面が描かれています。
このように、登場人物の魅力に隙がなく、どのキャラクターも個性が光っています。
名前も殺しの手法もクセのある殺し屋たち。
裏社会で戦う一般人代表の鈴木。
読めば必ず好きになるキャラクターが出てきます。
というわけで、『グラスホッパー』1つ目のおすすめポイントは、『個性のバーゲンセール!魅力あふれる登場人物たち』です!

変な殺し屋ばかりだボン!

そうですね。
それでもどこか魅力を感じるキャラクターばかりです!
息継ぎのタイミングが掴めない!テンポよく進んでいくストーリー

『グラスホッパー』は、鈴木・鯨・蝉と、3人の視点を切り替えながら物語が進行していきます。
時系列は同じでも、視点が変わるだけでストーリーに温度差が出ているところが面白いんです!
最初は何の接点もない3人の物語が、『押し屋』を中心に徐々に交わりあっていきます。
二転三転しながら進んでいくストーリーに、読者はどんどん惹きつけられていきます。
鈴木のパートでは、『押し屋』かもしれないと疑っている槿の家に家庭教師として潜入するシーンが主に描かれています。
その中でもとくに健太郎と考次郎とのやり取りが可愛くて、穏やかな時間が流れています。
もちろん、仕事中ではあるため比与子からは早く押し屋かどうか特定するように催促の電話があります。
その電話は催促というよりも脅しなのですが、裏社会の怖さを物語っています。
鯨のパートは、ずっと陰鬱な空気のまま進んでいきます。
鯨自体が暗いキャラクターなところもあり、とにかくジメっとした印象。
今まで殺してきた相手の幻覚が見えていて、すでに半分は壊れてしまったような鯨が、じわじわと『押し屋』に迫っていく様は怖いです。
蝉のパートは、上司の岩西との掛け合いが軽妙で、読んでいて面白いです。
キャラクターの明るさもあって、テンポよく進んでいくストーリーは読みやすくもあります。
蝉も途中から『押し屋』を追うことになり、最終的には3人のストーリーがひとつに重なります。
3つの視点を行き来しながら進んでいくストーリーは、そのひとつひとつは短く区切られているため、テンポよく読み進めることができます。
そのため長編小説ではありますが、読書初心者の方でも読みやすくなっているというのもポイント!
読み終わった後は、心地のいい読後感を味わえること間違いなしです!
というわけで、『グラスホッパー』のおすすめポイント2つ目は、『息継ぎのタイミングが掴めない!テンポよく進んでいくストーリー』です!

鈴木のパートで描かれている夫婦の姿もよかったボン!

鈴木の妻は回想でしか出てきませんが、本当に素敵な方ですね。
彼女の存在は、間違いなく『グラスホッパー』イチの癒しです!
軽やかな読み心地を実現!『伊坂節』こと伊坂幸太郎さん特有の言い回し

『グラスホッパー』はクライムサスペンスということもあり、物騒な描写が多く出てきます。
ですが、不快な気持ちにならずに読み進めることができます!
その理由こそが、おすすめポイント3つ目の『伊坂節』にあります。
(※伊坂節とは、伊坂幸太郎さん特有の独特な言い回しのことを指します)
伊坂節全開で展開されるキャラクター同士の会話劇は、シリアスなシーンであっても重くなりすぎません。
「──だから、お前はフロントでそのうちの一枚を受け取って、部屋に入って、隠れてるってわけだ」
「隠れるのは好きじゃねえんだって」
「蝉ってのは、七年くらい地面に隠れてるんだろうが」
「隠れているんじゃない。満を持してるんだ」
これは蝉と岩西との会話。
殺しの依頼内容の一部なのですが、いちいち言い返す蝉が面白いんです。
蝉と岩西とのやり取りとは一味違い、読んでいてほっこりするのが鈴木夫婦のやり取り。
彼らの回想シーンは、妻が亡くなっていることもあって胸にくるものがあります。
「この指輪を見るたびに、僕は、君を思い出す。そういうことに決めてしまおう。そうしたら、忘れにくいんじゃないかな」
「忘れにくい、って、にくい、って何よ。絶対忘れない、とか言えばいいのに」彼女が可笑しそうに言い返した。
「世の中にさ、絶対って断言できることってないだろ」
「頑張りが足りない」彼女は、鈴木を指差した。「忘れないように、頑張るべきだ」
「僕は結構、頑張ってるよ」
鈴木の妻に対する愛情と妻のユニークさが見えてきて、読んでいて心地いいです。
他にも、鈴木と健太郎・考次郎兄弟とのやり取りなんかもおすすめで、クライムサスペンスであることを忘れてしまいそうになります。
会話以外でも伊坂節が効いていて、とにかく読みやすくなっています。
ユーモラスな殺しのシーンはしっかり怖く書かれていて、本格的なクライムサスペンスであることは間違いなし!
けれどシリアス過ぎない。
このバランスが絶妙で読者を惹きつけます。
というわけで、『グラスホッパー』のおすすめポイント3つ目は、『軽やかな読み心地を実現!『伊坂節』こと伊坂幸太郎さん特有の言い回し』です!

読み心地のよさは、その作品を最後まで読むかどうかに関わる重要な要素だボン!

そうですね。
『伊坂節』はクセがあるのにくどくなく、作品の魅力をワンランクアップさせてくれています!
伊坂幸太郎作品の楽しみ方

伊坂幸太郎さんの作品では、キャラクターが他の作品に登場したりすることがあります。
たとえば、『グラスホッパー』の主人公である鈴木は、上記した通り『マリアビートル』にも登場しています。
ナイフ使いの殺し屋・蝉は、『AX』に名前が出てきます。
さらには、蝉を主人公にした『Waltz(ワルツ)』というスピンオフ作品(漫画)もあります。
『グラスホッパー』は、伊坂幸太郎さんの作品の中で『殺し屋シリーズ』とよばれている作品群の中の一冊です。
シリーズは、『グラスホッパー』→『マリアビートル』→『AX』→『777トリプルセブン』の順で出版。
シリーズとはいえ作品自体は独立しているので、どの作品から読んでも楽しむことができます。

『グラスホッパー』以外の殺し屋シリーズ作品も紹介記事がありますので、詳しくはコチラからどうぞ。
⇒伊坂幸太郎『マリアビートル』レビュー│疾走感Maxな密室クライムサスペンス
⇒【本紹介】伊坂幸太郎『AX』──世のお父さんは、いつだって頑張っている!
このように、作品自体はそれぞれ別物だけれど、小さなところで繋がりを感じることができるのが伊坂幸太郎作品の魅力のひとつ。
『グラスホッパー』を読んでみて面白いと思ったら、『殺し屋シリーズ』の他作品を読んでみるのもアリ。
シリーズの枠を飛び越えて登場するキャラクターもいたりするので、どの作品を読んでいても思わぬ再会が待っていたりして面白いです。
一冊読んだら、次の一冊に繋がる。
好きなキャラクターを追いかけて次に読む作品を探すのも、伊坂幸太郎作品の楽しみ方のひとつです!
さいごに
まずは、ここまで読んでいただきありがとうございます。
少しでも『グラスホッパー』を読んでみたいと思っていただけたら幸いです。
本作は、本格的なクライムサスペンスでありながら、読み心地が軽やかで読みやすい物語です。
登場人物が魅力的で、とくに主人公の鈴木が裏社会で奮闘する姿は本当に格好よく、どんどん好きになってしまいます。
軽妙な言い回しとバイオレンスな世界観が絶妙にマッチして、最後まで楽しめる一冊です!
伊坂節全開で描かれる、本格的クライムサスペンス
伊坂幸太郎さん『グラスホッパー』
一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。
最後の最後に。
『グラスホッパー』が面白いと思った方は、伊坂幸太郎さんの他作品も紹介していますので、よろしかったらご訪問ください。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。




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