本を読みたいけれど、何を選べばいいのかわからない。
読書を趣味にすると、かならず一度はぶつかる壁ではないでしょうか。
読書を始めたばかりの人は、なおさら見つからなかったりしますよね。
そんな人におすすめの一冊。
伊坂幸太郎さんの小説
『重力ピエロ』
重厚なストーリーでありながら、伊坂作品らしく軽やかでユーモアたっぷり。
それゆえに、決して重く感じさせない読み心地。
一行目から読者の心を掴んで離さない珠玉の一冊です。
基本情報
タイトル:重力ピエロ
著者:伊坂幸太郎
出版社:新潮社(新潮文庫)
発行年:2003年(文庫版2006年)
ジャンル:ヒューマンドラマ/ミステリー
あらすじ
優しい父と美しい母を両親に持つ兄弟、泉水と春。
彼ら家族には、辛く悲しい過去があった。
大人になり、泉水は遺伝子情報を扱う企業に勤め、春は街の落書き消しを生業にしていた。
ある日、彼らの住む仙台の街で連続放火事件が発生。その事件現場には謎のグラフィティーアートが描かれていた。
そして、そのグラフィティーアートと遺伝子のルールとの奇妙なリンク。
事件の謎を追う兄弟と父。
謎解きの末、彼らが直面する事件の真実とは……。
この作品の、ここが面白い!
一行目の圧倒的インパクト
この作品を紹介するためには、この一行目に触れないわけにはいきません。
「あっ。この作品、絶対面白いやつだ」
となること間違いなしです。
そんな一行目から始まる兄弟のストーリー。
たった数ページ読んだ頃には、完全に作品の虜です。
私は読む前からこの一行目を知っていましたが、それでもまんまと引き込まれました。
それほどに圧倒的なインパクトを持つ一行。
ここで書くのは野暮なので、ぜひ本書を手に取って味わってください。
冒頭の一行目で作品を好きになる。
そんな奇妙な経験を是非、実際に体験してただきたい。

心を鷲掴みされること間違いなしです。
重いのに軽い読み心地
物語の内容は、とても重いです。
放火、落書き、レイプ、殺人。このような様々な犯罪が書かれている本作。
それでも読み心地が軽いのは、さすが伊坂幸太郎さんと言わざるを得ません。
ユーモアたっぷりでテンポよく進む会話。
個性豊かな登場人物。
独特な言葉選びや表現方法。
このようなしっかりとした支えが、重いテーマに浮力を与えています。
だからこそ軽い読み心地。
ページをめくる手が止まらないこと間違いなしです。

まさに「伊坂節」と、いったところでしょうか。
物語全体で描かれる家族愛
事件の謎解き以上に、兄弟と父、そして母との記憶が織りなす家族の物語こそが作品の核心となっています。
前述したとおり、とても重いストーリーとなっている本作ですが、そこに描かれているのは「家族愛」です。
弟想いの兄と、どこか掴みどころのない弟。そして彼らを見守る両親。
とくに印象的なのが、春の描いた絵が県のコンクールで大賞を取ったときのエピソード。
この家族の魅力がぎゅっと詰まった場面です。
「家族とはなにか」
読み終えたあと、胸の奥にふわっと残るのは温かい家族の記憶でした。

父親が最高にカッコよくて、私の推しです。
さいごに
もはや伝説と化した書き出して始まる物語。
ストーリーを通して語られるタイトルの意味。
放火事件、落書き、遺伝子のルール、家族の過去。一見バラバラな要素が、最後に一本の線でつながる爽快さ。
軽やかな読み心地。
読み終わった後に残る温かい余韻。
伊坂幸太郎ワールド全開の作品『重力ピエロ』
ぜひ、読まれてみてはいかがでしょうか。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。
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