「今のままではいけない」
と思う時がある。
しかし私には行動力がない。ダラダラと考えるだけで、気づけば40歳手前になっていた。
このままじゃ駄目な気配がプンプンしている。
転職したいと考えて早数年。未だ同じ職場でウジウジしている。
ダラダラ、プンプン、ウジウジ……頭の中は意外に忙しい。
仕事中、頭に浮かぶのはいつもの言葉だった。
「このままじゃ、このままだ」
財布の中に小銭しか入っていないことには気づいていた。
スマートフォンにもお金はない。クレジットカードは持っているが、自由に使えるほどの金銭的余裕もない。
それでも、職場からまっすぐ帰宅するのが嫌で、いつもとは違う道を選んで帰ることにした。
理由も目的もないが、とにかくまっすぐ帰りたくなかった。
どうせ遠回りするのならと、ゲーム屋に寄ってみた。息子が欲しがっているゲーム機があるかもしれない。
週に数回、私はゲーム屋巡りをしている。目的のゲーム機を探しているのだ。
いつも品切れで、なかなか手に入らない。
そんなゲーム機が、普通に売られていたから笑えた。
ソフト込みで六万円の出費は痛いが、息子の笑顔が脳裏に浮かぶ。
いや、脳表に浮かぶ。
そんな言葉はないのだけれど。
そのまま隣のディスカウントストアに寄り、ハイボール缶を三本購入して帰宅。
たいした遠回りではないが、確かに得るものがあった。
帰宅後、今までで一番といえるほどの笑顔を見せた息子。
私はいつも家族の笑顔を見たくて頑張っているが、ゲーム機には勝てないことを知った。
ご飯を食べ、風呂に入り、家族は寝る。
気づけばいつも通り、リビングには私ひとりが残った。
買ってきたハイボールを飲みながら、読書を始めた。
燃え殻さんのエッセイ集『この味もまたいつか恋しくなる』
まだ読み始めだが、すでに惚れている。
ひとつひとつは短いのだが、そのひとつひとつが短編小説を読んだかのような余韻を残す。
燃え殻さんのエッセイが好きで、他のエッセイ集も何度も読み返している。
読み進めていると、ハイボールが絡んだエッセイがあった。
なるほど、世の中にはこのようなハイボールがあるのか。
私が今飲んでいるハイボールとは、きっと違う味がするのだろう。
そんなことを考えながら、グラスを空にした。
それにしても、この人のエッセイはお酒に合う。
「今のままではいけない」
そう思いながら過ごした今日も、すべて自分が選択してきた今なのだ。
最近は空気が悪い職場も、いつも帰る家庭も、ぜんぶ私の選択の先にあったものだ。
今飲んでいるハイボールも、読んでいるエッセイも。
選んだのは私だ。
このままじゃいけないと思うのなら、少し遠回りしてでも、違う道を行ってみよう。
その選択の先に、きっと何かが待っている……気がした。
って。
お酒を飲みながら書いたら駄目ですね。
すぐカッコつけようとするんだもの。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。
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