ウバといいます。
「読書からでしか摂取できない栄養素」があると信じている、ちょっとヤバめの人です。
騙されたと思って、一度摂取してみませんか?
『ウバログ』では、普段あまり読書をしない人に、読書の面白さを紹介するための記事を書いています。
訪ねていただいた方の読書ライフに、少しでも繋がればいいなと願い、拙いながらも丁寧に紹介していきます。
今回紹介するのは、こちら!
伊坂幸太郎さん『チルドレン』|『サブマリン』
家裁調査官が主人公の連作短編集『チルドレン』と、その続編『サブマリン』
少年犯罪という重いテーマを扱いながらも、独特のタッチでユーモラスに描かれていて、普段あまり読書をしない方でも読みやすい作品です。
「カッコイイ大人とはこういうものか」と気づかせてくれる二冊です。
それでは早速、紹介していきます!
あらすじ
『チルドレン』
家裁調査官の武藤は大変だった。
漫画を万引きして送致された少年との面会が、どうやら一筋縄ではいかない。
何よりも。
破天荒で口の悪い、しかしどこか憎めない先輩、陣内への対応に大いに苦労していた。
独自の正義感をもち、周囲を自分のペースに巻き込む彼を中心に起こる、不思議な事件の数々。
少しクセの強い五つの物語がひとつに繋がったとき、予想もしない奇跡がすべてを包み込む──。
彼は言う。
「俺たちは奇跡を起こすんだ」
──そして物語は『サブマリン』へと繋がる。
貧乏くじを引くタイプの家裁調査官、武藤は、異動先で主任になった陣内と同じ組になる。
担当していたのは、無免許事故を起こした十九歳の少年。
多くを語らない少年に、武藤は苦労する。
一方でもう一人の担当、十五歳のパソコン少年は「ネットの犯行予告の真偽を見破れる」と言い出す。
なにより、一番の問題は傍迷惑な上司、陣内の存在だった!
すべての事件の真実が見えたとき、きっと読者の心を温かくする物語──。
『チルドレン』『サブマリン』の魅力
両作品を読み終えた時、私の心に一つの決意が芽生えました。
「私はカッコいい大人になろう」と。
本作のとある名言を、今も大事にしています。
その名言も含め、両作品の魅力を書いていきます。
魅力は、大きく分けて二つです。
クセのある登場人物、気持ちの良すぎる伏線回収、そして読み心地のいい言い回しです。
しれっと三つありますが、それぞれ分けて紹介していきます。
この記事を読めば、きっとあなたは読書をしたくなる。
はず!
※両作品の魅力をまとめて紹介しています。
登場人物
両作品通して、魅力全開なキャラクターがひとり。
陣内です。
もちろん、他にも魅力的なキャラクターは存在します。
盲目の永瀬や、その恋人の優子。盲導犬のベスも面白い。
家裁調査官の武藤だって魅力的です。
しかし。ここでは陣内についてだけ語りたい。
冒頭、私は「かっこいい大人とはこういうことか」と気づかされる作品だと書きました。
その「かっこいい大人」が陣内です。
破天荒で型破り。自分が正しいと信じて疑わない。
常に周囲を巻き込む、迷惑極まりない存在。
口も悪いし……。
悪口しか書いていない気がしますが、それでも惹かれてしまうのが陣内という男です。
登場人物の全員が、陣内に苦労しながらも好きでいます。
もちろん。読者もかならず彼を好きになります。
絶対に!
私の、我が子に対する考えを変えさせた陣内の名言がひとつ。
「そもそも、大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ」
はい!かっこいい。
──その他、名言多数。
気になりませんか?陣内。
ぜひ、出会いに来てください!

陣内の魅力は、ガチです!
素晴らしき伏線回収
伏線回収が気持ちいい!
著者の伊坂幸太郎さんの十八番ともいえる伏線回収が、両作品の魅力のひとつです。
決して、ド派手な大どんでん返し的なものは、ありません。
小さな、控えめな伏線が無数に散りばめられています。
それをひとつひとつ回収していく様が、とても気持ちいい。
『チルドレン』は短編集なのですが、その中で『チルドレンⅡ』という物語があります。
そこで陣内が言うのです。
「俺たちは奇跡を起こすんだ」と。
このセリフが回収される瞬間、きっと涙腺が緩みます。

結局、陣内推しっ!
独特な言い回し
両作品を通して、言い回しがとても心地いいのです。
私は、それを勝手に「伊坂節」とよんでいます。
この言い回しがクセになる。
タイム・イズ・マネーと言うじゃないか。時間は金ってことは、金を預かるのが銀行なんだから、ここには時間だってあるんじゃないか。そうだろう?
クセが凄い!
ちなみにこのセリフ、文庫本でたった十二ページ目です。読み始めてすぐです。
これだけで、ここから先に独特な世界が広がっていることを予感させます。
このような独特な言い回しや表現が多数出てきます。
これがクセになって、どんどん読み進めてしまいます。
この「伊坂節」こそが、両作品の最大の魅力です!

ちなみにそのセリフを言うのも……わかりますよね?
さて、読書を始めたくなってきましたか?
さいごに
この記事を書くにあたり、改めて読み返しました。
何度読んでも面白く、やはり陣内に惹かれる作品でした。
魅力は三つと言いながら、すべてが陣内に収束する結果になってしまいました。
それほどに陣内の魅力が際立つ作品だと思います。
私の人生観も変えられたくらいです。
なにより、普段あまり読書をしない大人にこそ読んで欲しいと思いました。
読みやすく、それでいて考え方を変えさせる魅力もある。
大人にこそ刺さる作品だと、心から思います。
魅力のあるキャラクターたちの魅せる、唯一無二の物語
伊坂幸太郎さん『チルドレン』|『サブマリン』
一度、手に取られてはいかがでしょうか。
基本情報
タイトル:チルドレン
著者:伊坂幸太郎
出版社:講談社/講談社文庫
発行年:2004年/2007年
ジャンル:ミステリー/ヒューマンドラマ
タイトル:サブマリン
著者:伊坂幸太郎
出版社:講談社/講談社文庫
発行年:2016年/2019年
ジャンル:ミステリー/ヒューマンドラマ
ちなみに。
本作以外にも伊坂幸太郎さんの作品の紹介記事を書いています。
暇なときでいいのです。宜しければお訪ねください。
今日はここまで。
それでは、佐世保の隅っこからウバでした。
皆様の今日が幸せな一日でありますように。



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